交流拡大に努力
輸出管理の運用見直しや徴用工問題などに伴う日韓関係の悪化に関して、観光庁の田端浩長官は17日の専門紙向け会見で、韓国からの訪日旅行には「現時点で大きな影響はない」との見方を示した。ただ、今後、訪日旅行を控える動きにつながる可能性もあることから市場の動向に注視しつつ、引き続き日韓の交流拡大に努めていく姿勢を強調した。
観光庁は、日本政府観光局(JNTO)ソウル事務所が収集した情報などを基に、韓国からの訪日旅行の大半を占める個人旅行への影響は限定的と指摘。しかし、インセンティブ(報奨)旅行などについては一部にキャンセルが発生していると説明した。
田端長官は「現時点では大きな影響はないと認識している。しかし、韓国世論の動向などによっては、訪日旅行を控える動きが生じる可能性も否定できないことから、状況を注視している。日韓関係にはさまざまな課題があると承知しているが、観光交流は未来志向の日韓関係の基盤であり、引き続き交流拡大に努める」と述べた。
日本政府が輸出管理の運用見直しを発表したのは1日で、訪日旅行者数の統計から直近の動向は把握できないが、航空便の運休や地方間交流の中止が広がれば、訪日需要への影響が懸念される。航空路線の運休では、韓国のLCC、ティーウェイ航空が韓国経済の低迷、日韓関係の悪化を理由に9月17日から佐賀―釜山線を休止すると佐賀県に伝えてきたという。
韓国からの訪日旅行者数は、日韓関係の悪化以前に、18年後半から前年の実績を下回る月が多くなっている。19年1~6月累計も前年同期比3.8%減の386万人。韓国のアウトバウンドの伸び悩み、ベトナム観光や中国渡航など旅行先の多様化の影響を受けているとみられている。