明治大学は11月15日、東京都千代田区の駿河台キャンパスに隣接する「山の上ホテル」=写真=の土地と建物を同日付で取得したと発表した。同校の創立150周年記念事業の一環。今後は現状の施設外観を維持したまま必要な改修工事を施し、一般客向けのホテルだけでなく学生支援や地域・社会連携の機能を持たせた新たなシンボルとして再生する。
山の上ホテルは1937年、同校の前身・明治法律学校出身の佐藤慶太郎氏の寄付をもとに、当時の生活困窮者の生活改善などを目的とした組織「大日本生活協会」の本部として建設。戦時中は旧海軍が使用し、戦後はGHQが接収。米国婦人陸軍部隊(WAC)の宿舎として使用され、返還後の1954年1月に山の上ホテルとして開業した。川端康成や三島由紀夫など多くの作家が利用したことで知られている。竣工から86年を迎え、今後は老朽化対応が求められることから、今年2月から閉館していた。
同校によると、今年4月下旬ごろにホテルの入札情報を入手し、建物の状態や鑑定評価など各種調査を行った上で取得手続きを開始。「次世代にわたり教育・研究の用途として有効活用できるポテンシャルを有している土地を取得することで、本学に大きな付加価値をもたらすことを期待している」とコメントしており、大学の新たなシンボルとして継承するという。
今後については、耐震面など躯体に関する詳細な調査を実施し、活用可能な期間などを決定。必要な改修工事を施した上で、将来的には一般客も利用できるホテルとして営業再開を目指す。学生や社会人が交流できる場とすることも検討するほか、同校が開講している生涯学習講座「リバティアカデミー」にも活用するなど、地域・社会連携も視野に入れる。
ホテルの運営委託先や運営体制については引き続き検討を進めているが、運営会社の公募などは実施しない方針だという。開業時期は決定次第大学の公式サイトで公表する予定。