環境対策が叫ばれるなか、宿泊施設などを対象とした国際エコラベル事業として注目を浴びる「グリーンキー」(認証団体=国際NGO・FEEジャパン、伊藤正侑子代表理事)の認証式が15日、東京都渋谷区のデンマーク大使館で開かれた。日本で初めて認定を受けることとなった、「明神館」(長野・扉温泉)など3施設の代表らは、フランツ=ミカエル・スキョル・メルビン・駐日デンマーク大使から認証状を受け取り、環境対策の深化や普及に向け気持ちを新たにしていた。
今回認証を受けたのは、約20年前から無農薬野菜の使用やコジェネレーション(熱電併給)の導入などを行ってきた明神館のほか、施設の建て替えを契機にオール電化を導入するなど、ハード面の整備にも取り組んだ「ホテルリッチ&ガーデン酒田」(山形・酒田、熊谷芳則社長)、無農薬素材の利用や部屋へのテレビ不設置など「ちょっと前の日本の暮らしの良さ」をコンセプトにしたもてなしを行っている「銀座吉水」(東京・銀座、中川誼美代表)の3施設。グリーンキー発祥の地がデンマークであることから、メルビン大使が認証状を手渡し、その努力を称えた。
認証審査委員の1人として3施設を回った、環境コンサルタントの小寺昭彦氏は、「3施設とも、それぞれの考え方に基づいたやり方で認証基準を満たしており、環境対策にはいろいろな形のアプローチがあることを期せずして示す形となった。この3施設が日本初の認証施設となったことは、日本での今後の認証事業にも良い影響を与えるだろう」と総評した。
認証を受けた明神館の齊藤忠政同館専務は、「旅館ホテルでは、『エコはお金がかかる』という認識が強く、積極的に取り組もうとしないところが多いが、実際は人の意識によるところが大きい。エコは従業員と一緒になって楽しく取り組めるもの。今後は長野県内の施設にたくさん取り組んでもらい、『エコな長野』をアピールできるようにしていければ」と抱負を語った。
同じく認証を受けた銀座吉水は、同館の施設コンセプトとエコロジカルな取り組みが評判を呼び、多くの外国人客が訪れているという。また認証先進国であるフランスやオランダではすでにグリーンキーが宿泊施設を選ぶ際の基準の1つとなっていることなどから、グリーンキーは外国人客誘客にも有効なアピールポイントとなる可能性が高い。
09年3月時点で日本を含む世界13カ国642施設がグリーンキーを取得。日本での認証事業行うFEEジャパンでは、今後3年間で国内の認定施設を100施設まで増やすことを目標としており、今後日本でもグリーンキーを目にする機会が増えそうだ。
デンマークのメルビン駐日大使(右)から贈られた認証状を手にする
明神館の齋籐専務(右から3人目)ら関係者