星野社長
星野リゾート（長野県軽井沢町）は4月17日、ＹｏｕＴｕｂｅ配信でプレス発表会「星野リゾートＬＩＶＥ2024春」を行った。星野佳路代表が宿泊業における人手不足問題の脱却に向けた取り組みを説明したほか、昨今のインバウンド需要の実態についても解説。都市と地方の間で需要ギャップが大きい点を指摘し、地方誘客を強化すべきと提言した。
星野氏は、近年の宿泊業における人手不足の主な要因として、コロナ収束を経て需要が一気に戻り、供給が追い付いていない点を指摘。需要の急激な戻りに合わせた大規模採用が現実的でない以上、従業員の待遇改善や人材の有効活用が必要と主張した。「必要な人員をそろえ、維持することが重要。当社では初任給引き上げや残業手当の改善などを通じて退職率低減を図ったほか、進出エリアでは地域に詳しい地元人材の採用も強化してきた」と強調し、労働力不足からの脱却を宣言した。
星野氏は、昨今のインバウンド需要についても言及。社会問題化しているオーバーツーリズムの実態について「一部の地域に観光客が異常に集中している“偏り”に過ぎない」と指摘。「都市だけに観光客が集中しているこの状態は観光立国の実現から逆行している。日本は文化観光が得意な一方で、自然観光の分野が苦手。各地方の自然観光を活性化させるには、国立公園などの強化が重要。今後はインバウンドの経済効果が現れていない地方に新しいコンテンツを作っていく」と語り、今後はインバウンド集客が弱いエリアにも進出すると言及した。
同社は今年も日本各地で新施設を開業予定で、「ＯＭＯ」ブランドは6月13日に「ＯＭＯ7高知」を、7月6日に「ＯＭＯ5函館」を開業する。「界」ブランドは4月25日に「界 秋保」が開業したほか、9月5日には岐阜県平湯温泉に「界 奥飛騨」を開業予定。同社が岐阜県に進出するのは初となる。
星野社長
