琵琶湖が県土の6分の1を占めている滋賀県に住む人々にとって、湖は非常に親しみ深く切り離せない存在だ。同県では小学5年生が全員、県の学習船で湖上学習をするため、現在では県民の約3分の1が琵琶湖での湖上宿泊を体験しているという。
だが、滋賀県外の人にとって琵琶湖は「日本一の大きさ」と知られているだけでなじみも薄く、実際に訪れたことがある人は少ないのではないだろうか。そこで湖上とその周辺から、琵琶湖をじっくり知ることができるツアーが今年4月から始まった。クルーズツアー「びわ湖一周『近江学びの旅』クルーズ」だ。
このツアーは、学習船以外で唯一湖上宿泊ができる船、琵琶湖汽船(滋賀県大津市、中井保社長)所属の「ビアンカ号」(1216.0トン、旅客定員600人)を利用。地元NPO法人が協力し、地域に密着した内容のツアーを月1回程度催行する。
ツアーでは日本よし笛協会所属の「リリーズ」によるヨシ笛コンサートや水と文化研究会世話役の荒井紀子さんによる琵琶湖環境についての講演のほか、フードコーディネーターのプロデュースによる近江の味覚体験も。また、湖上にある竹生島や湖岸の城下町、長浜や彦根に寄港し、散策することもできる。船上で星空観察会や翌朝に船のデッキで行う体操は、船に宿泊するツアーならではの企画だ。
夏からのツアーでは、湖の真ん中に船を進めてそこで深層水を採り、実際に飲んでみるといった体験メニューも取り入れる予定。琵琶湖の水というと汚くないのか不安を感じる人も多いだろうが、まろやかな味のきれいな水を味わえ、水の豊さを実感できる。
ツアーには京都、大阪だけでなく、東京からの参加者も。「湖での船旅自体が珍しいなか、船内で知識を深めたり郷土料理を楽しめる上、地元の人との交流できるので、参加者に大変満足してもらえている」(同社)。参加者の中には、ツアーの最後に別れを惜しんで涙する人もいるという。
安土城址や近江商人の町・近江八幡などの琵琶湖畔に位置する観光スポットと併せて、琵琶湖上の見所にも注目したい。
琵琶湖最大の船・ビアンカ