内閣府はこのほど、景気ウォッチャー調査の9月分を公表した。景気の現状判断DIは前月比3.9ポイント増の46.7と、2カ月連続で上昇した。ウォッチャーの見方について「『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要が一部に見られる』ものの、『このところ回復に弱い動きが見られる』とまとめられる」と内閣府。
DIは旅館、商店、飲食店の経営者、従業員ら、地域の景気に関連する動きを観察できる人々に景気の現状や先行きについて「良い」「やや良い」「どちらともいえない」「やや悪い」「悪い」の5段階で判断してもらい、回答を数値化したもの(季節調整値)。
現状判断DIは、家計動向関連が前月比4.9ポイント増の47.7。このうちサービス関連が同1.6ポイント増の45.5。飲食関連も同3.3ポイント増の42.6と上昇した。
企業動向関連は同3.4ポイント増の45.1。このうち製造業が同4.5ポイント増の43.3、非製造業が同2.3ポイント増の46.1と、ともに上昇した。
雇用関連は同1.0ポイント減の44.0と低下した。
現状判断DIを全国12地域別に見ると、11地域が上昇。中国のみが低下した。北海道が同8.0ポイント増(49.3)と、最も上昇幅が大きかった。
2~3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、前月比2.8ポイント減の36.9。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てが低下した。
全国12地域別では、北海道(0.6ポイント増の42.1)、北陸(5.2ポイント増の38.2)のみが上昇した。
回答者の主な景気判断理由は次の通り。
「国内旅行客による予約が減少している。外国人観光客については、アジア圏の客による予約や問い合わせが減少している。これらのことから、景気はやや悪くなっている」(現状、やや悪、北海道、タクシー運転手)。
「管内における観光客の入り込みについて、韓国人観光客の落ち込みによる影響が出てきている」(現状、やや悪、北海道、旅行代理店)。
「冬季の観光シーズンに向けて、韓国人観光客が回復する見通しが立たない。また、香港のデモの影響に加えて、台湾や中国における景気悪化の懸念などから、全体的に外国人観光客の予約が伸びていない状況にある」(先行き、不変、北海道、観光型ホテル)。
「消費税増税で販売価格が上昇しており、旅行商材の買い控えがあるようである」(先行き、やや悪、北関東、旅行代理店)。
「団体旅行は国内はほぼ予定通りだが、海外が悪かったことで、プラスマイナスゼロになっている。個人旅行は、国内はほぼ横ばいだが、海外が悪い」(現状、不変、南関東、旅行代理店)。
「キャッシュレスポイントなどの施策があるためか、9月よりも10~11月の予約が堅調である」(先行き、やや良、甲信越、観光型旅館)。
「ラグビーワールドカップや開催まで1年を切った東京オリンピックに沸く東京周辺と違い、大型商業施設の撤退など、当地域には明るい話題がない」(先行き、悪、甲信越、都市型ホテル)。
「消費税増税による影響は今のところない。先々に大きな申し込みがあるわけでもなく、安い申し込みが中心の状況は変わっていない」(現状、不変、近畿、旅行代理店)。
「10~11月の先行予約の状況は前年よりも良くない。これから間際予約をどれだけ取れるかに左右される」(先行き、不変、近畿、観光型ホテル)。
「事業所が位置する中心市街地に、大型複合商業施設がオープンし、市外からの買い物客で、人の流れに勢いを感じる。当該施設への集客が、周辺に好影響を与えている」(現状、やや良、九州、観光型ホテル)。
「ラグビーワールドカップが開催されるが、日韓関係でインバウンドの動きがかなり落ち込んでおり、加えて、10月には消費税引き上げを控え、消費者の気持ちが後ろ向きになっている」(現状、悪、九州、タクシー運転手)。
「現段階の予約状況から推察される今後2~3カ月後の客室稼働率は、今月同様に前年実績を下回る見込みである。10月以降の団体旅行受注も今年は少なく、厳しい状況が続いている」(先行き、不変、沖縄、観光型ホテル)。