著者は福島県磐梯熱海温泉の旅館「よもぎ埜」のオーナー。福島第1原発事故で今も風評被害を受ける同温泉で、長期休業を余儀なくされながら新たな投資を行い、昨年8月11日に再オープンした旅館再生へのドキュメンタリー。
旅行会社のアンケートで高得点をあげる客室15室の離れの宿。顧客から高い評価を受けていた宿が昨年3月11日の震災で状況が一変。水道管や温泉管の断裂などの直接被害とともに、原発事故の風評被害でキャンセルが相次ぎ、長期休業を余儀なくされた。
再開の見通しが立たない中、経営者は悩みながら借金を背負ってでも新たな設備投資を行うことを選択する。震災から150日の8月11日を再オープンの日に設定。突貫工事で復興オープンにこぎつけた。
困難に直面した時、経営者はどのような心構えで臨み、どう判断すべきか。同業者の参考になる一冊だ。
四六判、176ページ。1500円。
発行=柴田書店TEL03・5816・8282。