東京都と淑徳大学 観光経営人材育成講座 持続可能な観光へ、自然資源活かす


第7回講座の様子

 東京都と淑徳大学は、「地域が誇る自然資源を活かした観光経営人材育成講座」を11月16日~12月21日の日程で開催している。

 受講料は無料。観光の最前線で活躍している実務家を招聘(しょうへい)し、対面講座とオンデマンド講座、最終回には日帰りの「みたけ山フィールドワーク」を含む全10回で構成した。持続可能な観光(サステナブルツーリズム)の実現に欠かせない、地域が誇る自然資源を活かした観光をマネジメントできる人材を育成している。

 全10回の講座タイトルは、「自然資源を活かしたツーリズムと将来展望」「旅行業にみる自然資源活用の実践例と課題」「『沿線まるごとホテル』にみる過疎化・空き家対策と自然共生」「自然資源を活かしたツーリズムと鉄道事業について」「沖縄におけるエシカルトラベルについて」「東北『みちのく潮風トレイル』と復興ツーリズム」「観光経営人材育成の重要性と実務について」「東京アドベンチャープロモーション協議会の取り組み成果とフィールドワークの心得」「名寄・大槌・岩見銀山『地域おこし協力隊』によるシンポジウム」「みたけ山ネイチャー体験(フィールドワーク)」。

 実施済み講座の要旨は次の通り。

 【第1回】自然資源を活かしたツーリズムと将来展望(講師・淑徳大学経営学部観光経営学科教授・千葉千枝子氏/立命館大学ビジネススクール教授・宮口直人氏)

 地域資源から観光活動の対象として活用できるものは「観光資源」として、観光客を誘引することが可能となる。つまり、観光資源=コンテンツ化とは、地域資源を経済活動の要素として利用することだ。地域資源の観光資源に変える方法は(1)地域資源の抽出(他の地域にはない、ならではの宝物)(2)ターゲット顧客の選定(セグメンテーションを実施し、ターゲットを明確にする)(3)顧客の行動形式を検討(地域資源の楽しみ方を決める)。

 【第2回】旅行業にみる自然資源活用の実践例と課題(講師・東武トップツアーズ代表取締役会長・久保成人氏/同ソーシャルイノベーション推進部官公庁事業部長・坂本光史氏)

 コロナ禍により、旅行者のサステナブルな意識が高まり、旅行先に負担をかけるのではなく、その地域に貢献したいという人が増加している。ビジネスとして「持続可能な観光」に取り組むには、地元が本当に観光を必要としているかを考える必要がある。旅行業者は地域の努力を理解し、その魅力を効果的にアピールする役割を担っている。地域の取り組みに応じて、持続可能な観光地の発展に責任を持ち、将来的にも観光客を呼び込むことができる観光地を築く必要がある。

 【第7回】観光経営人材育成の重要性と実務について~アドベンチャーツーリズム推進からの示唆(JTB総合研究所代表取締役社長・風間欣人氏/同主席研究員兼日本アドベンチャーツーリズム協議会業務執行理事・山下真輝氏)

 アフターコロナの旅のあり方の変化として(1)旅行に求める意義の変化(2)旅行先を選ぶ基準の変化(3)旅行の楽しみ方の変化―がある。高付加価値旅行者の旅行に対する価値観は、従来のラグジュアリーであるための「基礎要件」に加え、自身や同行者、地球環境や訪問地にとっての価値を求める傾向にある。高付加価値旅行者に提供すべき旅行のあり方は、(1)特別な体験の提供(地元の文化に深く没入する体験、専門家によるガイドツアー)(2)教育的要素と意識の向上(自然的価値を学ぶ、地域の生態系や文化遺産の保護の重要性)(3)少人数での実施(パーソナライズされたサービス)(4)価格設定(地域コミュニティへの直接的な貢献、持続可能な観光活動へのサポートなどのコストも反映)(5)持続可能性と地域貢献(地域の環境への負荷を最小限に抑え、地域コミュニティに経済的な恩恵をもたらす)。


第7回講座の様子

 
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