島の発展をサポート
東京都島しょ振興公社は、東京都に属する島しょ地域(伊豆、小笠原両諸島の11の有人島)の経済発展、住民の生活文化の向上に資する取り組みへのサポートを目的とする1989年設立の公益財団法人で、東京都の外郭団体に位置付けられている。事業は「地域振興」「特産品展示販売」「広報宣伝」「交通関連」の四つの柱からなり、このうち地域振興は観光振興事業がメインの一つとなっている。
公社主催のイベントを企画、運営するほか、他団体が主催するイベントにも参画。島しょ地域の魅力を広くアピールしている。
今年度の目玉の一つに挙げられるのが、「東京愛らんどフェア」だ。各島の魅力PRや特産品販売を都内の駅頭などで行う毎年恒例の事業だが、新型コロナウイルス禍で2020年、21年の2年間、やむなく中止となった。しかし、この5月27、28日、およそ3年ぶりに復活した。
会場となったJR有楽町駅前広場には、くさや、焼酎、ツバキ油など、伊豆、小笠原両諸島の特産品が並び、多くの人が珍しい特産品を買い求めたり、島のパンフレットを手に取ったりしていた。
出展した三宅島観光協会の谷井重夫事務局長は「売れ行き上々で、アシタバの生葉など、早々に売り切れた。(コロナ禍は)まだ予断を許さないが、島ではガイドラインを作るなど感染対策を万全にしている。都民割も始まり、これから多くの方にお越しいただけるのでは」と、今後の誘客に期待していた。
イベントはほかに、島の魅力をフェアと同様アピールする「島じまん」を隔年で開催しており、来年がその開催年に当たる。同イベントを開催しない年は、グルメイベント「東京諸島グルメスタンプラリー」を今年からの新規事業として開催。島の食材を使った料理を複数の店舗で提供し、一般客に巡ってもらうもので、初のイベントを5月9~22日、島への客船が発着する東京・竹芝エリアで開催した。
地域振興への取り組みで、もう一つのメインとなるのが特産品の開発推進事業だ。島の農水産物を活用した新商品の開発を目指し、食品加工事業者らの協力のもと、調査研究に取り組んでいる。今年は大島町のブランド産品「御神火レモン」と小笠原村の島レモンを使ったアロマディフューザーを開発。コロナ禍で需要が激減した新島村の養殖鯛(たい)や、利島村のツバキの搾りかすを使った特産品も現在検討中だ。
東京の島は全てが「外海孤立型離島」という特殊な環境にあり、その他の地域との人の交流や物流も容易ではない。「地理的に不利な条件にある住民の皆さまに寄り添った、特別な支援が必要」と、東京都島しょ振興公社の下河辺悠美事務局長は、同公社の存在意義を強調する。
下河辺事務局長
にぎわった「東京愛らんどフェア」(5月28日)