東日本大震災や福島原発事故で落ち込んだ観光客を呼び戻すことを目的に、3月にスタートした「東北観光博」の第2回実行委員会が、山形県上山温泉の日本の宿古窯で開催された。吉村美栄子山形県知事をはじめ東北の経済界、観光業界の代表のほか、井手憲文観光庁長官、清谷伸吾東北運輸局長ら委員約20人が出席。東北への観光入り込み客数は震災前の水準には回復していないとの報告があり、引き続き施策を強化し、需要喚起に努めることを確認した。
東北観光博は、国土交通相を委員長とする実行委員会を組織し、官民を挙げ、東北の観光復興を目指すキャンペーン。東北地方全体を博覧会場に見立て、旅行者の誘致に取り組んでいる。期間は来年3月末まで。
委員会では、東北各県や東北運輸局の調査を基にした今年のゴールデンウイークの観光入り込み客数が報告された。各県ともに前年同期の実績は上回ったが、一昨年同期との比較では太平洋沿岸の3県がマイナス。福島県が33%減、宮城県が15%減、岩手県が11%減となる厳しい状況だった。
今後の東北観光博の運営方針では、(1)東北全体のさらなる旅行需要の喚起(2)太平洋沿岸の観光復興の支援(3)滞在交流型観光の取り組みの浸透(4)今後の観光地域づくりに資する先進的取り組みの実施(5)東北での継続的な取り組みの実施と他地域への展開に向けた仕組みづくりの推進──の5項目が確認された。
観光庁の井手長官は、委員会終了後の記者会見で、「東北観光博の認知度は首都圏を中心に確実に増しており、大手旅行業者を中心に、季節感をもった商品企画が多数設定されていることから、この夏に期待している」と述べた。
委員会の開催に合わせ、東北観光博を盛り上げようと、山形県の観光情報の発信に活躍している「山形おいたま愛の武将隊」「ミスさくらんぼ」「最上川舟下り船頭」「羽黒山山伏」「酒田舞妓」が会場に集合。実行委員らの山形への訪問を歓迎した。
実行委員らは委員会終了後、東北観光博の一環でさくらんぼ東根駅に設置されている「旅の駅」、銀山温泉内に開設されている「旅のサロン」などを視察した。
ポーズをとる井手長官(写真中央)とPR隊