秋田県男鹿市の「なまはげ」が、東日本大震災の影響で需要が落ち込んでいる秋田の観光、東北の観光を回復させようと立ち上がった。東京都内各地に現れた21匹のなまはげは、恐ろしい形相で「東北に旅行に行かない者はいねがー」とすごみをきかせた。
男鹿市の観光関係者が14、15日に実施した観光キャラバンの企画。渡部幸男市長をはじめ、加藤義康・男鹿市観光協会長、大渕英悦・男鹿温泉郷協同組合理事長らも参加した。観光庁や旅行会社、台東区の浅草などで観光PRを繰り広げた。
なまはげは男鹿市に伝わる大晦日の伝統行事で、災禍を払い、訓戒を与え、福を祈念する「歳神」とされる。人々の祈り、自然への畏敬と感謝が込められ、震災復興の観光キャラバンにふさわしいとして起用された。
観光キャラバン実行委員会の山本貴紀委員長(元湯雄山閣専務)は「21匹ものなまはげが1度に見られる機会は本来なく、特別な企画だ。キャラバンを通じて東北観光博をPRし、来年秋の秋田デスティネーションキャンペーンに弾みをつけたい」と語った。
観光庁を訪れた際には、なまはげから溝畑宏長官に要望書を手渡した=写真。要望書では「東北に根ざす者として凄惨かつ激動の1年だった。男鹿市の観光産業も風評被害で壊滅的な打撃を受け、依然苦境にある。東北復興、観光振興に一層の施策を」と訴えた。