東京商工会議所は16日までに、「訪日外国人市場の拡大と国際競争力強化に関する要望」をまとめ、国土交通省など政府機関に提出した。要望書は、新たな需要を創出し経済成長を持続させるには「迎え入れる国際化」を強力に推進すべきだとした上で、(1)国際競争力の高い魅力ある観光地の形成(2)観光産業の国際競争力の強化および観光の振興に寄与する人材の育成(3)国際観光の振興──などについて取り組むよう求めた。
魅力ある観光地の形成では、訪日外客の主要訪問地である新宿、銀座、渋谷などの商業地や生活文化として外国人の関心が高い商店街などに対する魅力づくりへの支援と海外に向けたPRを強化するよう要望。また、入国時の移動をスムーズに行うため、CIQ(税関・出入国管理・検疫)の改善を求めた。
人材の育成については通訳案内士に言及。「アジア圏言語の登録者の絶対数が少ない」と指摘した上で、即戦力につながる試験内容の充実、資格取得後の知識・技能のブラッシュアップへの支援などを通じて、訪日旅行者の動向に応じて確保すべきだとした。
国際観光の振興では、入国に関する規制緩和措置のほか、国際会議の誘致活動における自治体間の連携促進や施設整備に対する支援措置を要望した。
個人型旅行の増加を踏まえ、携帯情報端末(PDA)による情報提供システムの構築、レンタカーの利用を見込んだ道路標識の多言語化の推進も検討すべき課題に挙げている。
10月には観光庁が発足するが、日本政府観光局(JNTO)との関係においては「機能の重複を避け、一層の事業予算を確保すべきだ」とした。JNTOについては、海外拠点(13カ所)が他の政府観光機関の拠点数と比べ不十分と指摘、「抜本的な組織体制の見直しも視野に入れた機能強化を盛り込んだ。
東京都と密接な関係がある東商の特性を踏まえ、東京の五輪招致にも言及。「VJCなど訪日外客の誘致に向けた海外プロモーションの実施に際しては、招致活動と相乗効果を生み出す工夫を検討すべき」とした。