東商、都の観光振興で意見書


体験・交流の推進など提言

 東京商工会議所はこのほど開いた常議員会で、観光委員会(委員長・佐々木隆副会長=JTB相談役)がとりまとめた「東京の観光振興策に関する意見書」を決議した。消費拡大に向けた体験・交流型観光の推進や集客を消費につなげる面的な取り組みへの支援などを求めた。

 都をはじめ関係各方面に提出し、意見内容の実現に向け働き掛けていく。副題は「2020年とその先を見据え、世界一の観光都市・東京の実現に向けて」とした。

 消費拡大では、「夜間・早朝などの観光ニーズに沿って、魅力ある観光資源を掘り起こし、体験型コンテンツとして提供することは旅行者の宿泊・滞在時間の長期化を促し、消費拡大につながる」とした上で、ナイトライフの活性化に言及。

 都はナイトライフ観光振興助成金による支援を行っているが、意見書は「美術館・博物館の開館時間や娯楽施設の開演時間の延長、鉄道・バスの夜間交通、安全・安心の確保が不可欠であり、官民一体となり課題解決に向けた取り組みを進めるべきだ」と指摘した。

 国内観光の活性化に向けては若年層の旅行促進が鍵を握るとして、(1)学校教育における観光関連プログラムの導入(2)保護者に対する旅行の理解促進(3)教育旅行の推進強化(4)若者向け優遇商品の造成―を挙げた。

 国内旅行の低迷で「国内における旅行消費額は10年間で約5兆円のマイナスとなっている」と意見書。未来を担う若年層に旅行の楽しさを知ってもらうのが重要だとの認識を示した。

 一方、国内旅行市場は予算や時間ともに余裕があるシニア層がけん引してきたが、高齢になると旅行意欲の低下が懸念されるとし、意見書はアクセシブルツーリズムの促進による高齢者の旅行需要喚起を提言。

 同ツーリズムは高齢者や障害者が積極的に外出して、さまざまな交通機関を利用しながら旅行が楽しめる環境づくりを意味する。意見書は促進に向け、「鉄道やバス、公共空間、宿泊施設などにおいてユニバーサルデザインの導入やバリアフリー化などハード面の対応を着実に進めるとともに、研修や人材育成などソフト面の取り組みも推進する」とした。

 さらに、同ツーリズムに適するツアーの造成や円滑な旅行を後押しするよう求めた。

 旅館の安全性確保に向けた取り組みにも言及。災害時の避難施設にもなることから、「改正耐震改修促進法に基づく耐震診断に対する助成と改修工事に係る支援を拡充する」とした。宿泊施設の新設・更新に対する民間投資を促進するため、税制上の優遇措置や地域活性化ファンドの活用、公的融資制度の充実も提言した。

 
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