東急ホテルズとブランド提携 パンパシフィックホテルズグループ最高経営責任者 チョウ・ペン・サム氏に聞く


パンパシフィックホテルズグループ最高経営責任者 チョウ・ペン・サム氏

07年に買収、21年に提携 会員組織「GHA」を共有

 ホテルアライアンス「GHA」の20周年記念カンファレンスで来日したパンパシフィックホテルズグループのチョウCEOに単独インタビューで話をうかがった。

 ――パンパシフィックホテルズグループの概要は。

 「パンパシフィックホテルズグループはシンガポールの上場企業UOLグループの完全子会社。アジア太平洋地区、欧州、北米の約30都市で、パンパシフィック、パークロイヤルなどのブランドで50超のホテルを展開している。そのうち70%はオーナーとして所有し、残りの30%はマネジメントを行っている」

 ――パンパシフィックは元々、東急が展開していたブランドだ。

 「パンパシフィックは1975年に東急が開始した海外ホテルブランドだ。2007年にパンパシフィックホテルズ&リゾートの経営権を買い取った。全ての資産も取得した。その後、コロナ禍もあり、2021年に渋谷のセルリアンタワー東急ホテルとパートナーシップを結びマーケティング連携を開始。昨年4月に東急歌舞伎町タワーに開業した『ベルスター東京』はパンパシフィックホテルと『ホテルグルーヴ新宿』はパークロイヤルホテルとパートナー連携している」

 ――具体的にはどのような連携をしているのか。

 「独立系ホテルブランドの世界最大のアライアンス組織『GHA(グローバル・ホテル・アライアンス)』のメンバーとして、マルチブランドのロイヤリティプログラム『GHAディスカバリー』にご参加いただいている」

 ――GHAの概要は。

 「世界100カ国、800軒以上のホテルを要する40以上の多様な独立系ホテルブランドが参画しており、世界に2700万人の会員がいる。『パンパシフィックディスカバリー』として200万会員、『GHAディスカバリー』全体で2700万会員だ。GHAの日本人会員は現在34万人おり、増え続けている」

 ――チョウCEOはGHAのボードメンバーに名を連ねている。

 「GHAは、04年に設立された。ケンピンスキー、マイナー・ホテルズ、コリンシア・ホテルズ、パンパシフィックホテルズグループの四つのホテルチェーン、そしてホテルシステムを担うオラクル、世界有数の旅行・ライフスタイルコミュニティであるア・スモールワールドが現在の株主となっている。GHAディスカバリープログラムは23年、23億米ドルの収益と1千万室の宿泊販売実績を記録。そして今年、20周年を迎えた」

 ――マリオットインターナショナル「マリオットボンヴォイ」の会員数は世界2億人、インタコンチネンタルホテルズグループ「IHGワンリワーズ」の会員数は世界1.3億人だ。会員数0.27億人のGHAの強みは何か。

 「GHAの加盟ホテルはラグジュアリーが多く、独立系ホテルブランドで構成されているためバラエティに富んでいる。GHAがインターブランドジャパンと共同で実施した調査では、旅行にお金をかけることができる日本の富裕層に関しては、一般的なブランドよりも地元の個性と魅力を持つ独立系ホテルを好むことが明らかになった。ロイヤリティプログラムのメンバーは、会員特別価格や割引、そしてリワードを特に重視している。そして高級客層は、感情が動かされる体験やサービスの質に追加的な重要性を置いている」

 ――「パンパシフィックディスカバリー」と「GHAディスカバリー」があり、分かりづらい。
「スターアライアンスを思い浮かべてほしい。全日空、シンガポール航空、ユナイテッド航空、ルフトハンザドイツ航空など個別のマイレージプログラムを持つ航空会社が連携してマイレージ交換もできる航空連合を形成している。また航空連合と異なり、パンパシフィックディスカバリーの場合は、GHAディスカバリーに組み込まれている」

 ――チョウCEOは日本の温泉旅館はお好きですか。

 「大好きだ。各地を訪れているが、別府温泉が特に気に入っている。全室に個室露天風呂がある20室程度の別府の温泉旅館を友人、知人によく紹介している。夕食も朝食もミシュランレベル。本当に素晴らしい」

 ――好きな日本食は。

 「刺し身、おすしだ」

 Choe Peng Sun(曹炳森) シャングリ・ラホテルズ&リゾーツを経て、1996年から2019年までフレイザーズ・ホスピタリティ・インターナショナルの最高経営責任者。2019年、パンパシフィックホテルズグループ入社。グローバル・ホテル・アライアンス(GHA)理事、アングロ・チャイニーズ教育理事会理事、シンガポール経団連中東ビジネスグループ副会長。
【聞き手・江口英一】


パンパシフィックホテルズグループ最高経営責任者 チョウ・ペン・サム氏

 
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