東武鉄道と日立製作所は3日、両社が今年4月に立ち上げた「生体認証を活用したデジタルアイデンティティ共通プラットフォーム」について、今後の導入計画を明らかにした。名称を「SAKULaLa(サクララ)」と改め、生体認証を利用して決済や年齢確認ができるサービスを東武ストアや東武ホテルなど全国100カ所で順次展開する。
同サービスはスマートフォンやICカードを用いることなく、生体認証を活用してデジタル空間上に保存されている個人の属性情報に安全にアクセスすることで、決済、ポイント付与、本人確認などのサービスをワンストップで実現するもの。現在は指静脈認証による決済機能を東武ストア3店舗で導入している。
同日開かれた生体認証サービス「SAKULaLa」発表会では、日立製作所・マネージド&プラットフォームサービス事業部の石田貴一部長が登壇。労働力不足や急速なデジタル化による年代間利用格差、非常時の本人確認の管理―など課題を挙げ、「平時・非常時、リアル・オンライン問わず安全かつ迅速な本人確認の必要性が高まっている」と指摘。
東武鉄道・経営企画本部の前田隆平部長は、今年度中に東武ストア、東武ホテル等へ、来年度は東武東上線の座席指定列車TJライナー等へ導入するとの方針を示した。同社グループ以外では、来年度に上新電機、26年度にファミリーマート100店舗で導入する。
加えて、2025年度には鉄道の改札など迅速性が求められるシーンに適した顔認証対応などの新機能を順次付与することも発表し、東武鉄道沿線地域や地方での展開も視野にさらなる導入拡大を目指す。
前田部長は、「最終目標はプラットフォームを通じてあらゆるシーンでの生体認証が使われる社会をつくること。東武グループが有する鉄道、東京スカイツリーに次ぐ第3のインフラとして提供していく」と展望を語った。
ゲストとして同サービスでの決済を体験したタレントの辻希美さんは、「手ぶらで買い物ができて時短にもなる。子育てで時間に追われているママにおすすめしたい」と利便性をアピールした。
同サービスは東武ストアの導入店舗のほか、9月3日から東京ソラマチ(東京都墨田区)、9月26日からソラリアステージ(福岡市)で開催するポップアップストアでも体験できる。
(上)左から日立製作所の石田部長、東武鉄道の前田部長、辻さん(下)「SAKULaLa」で決済する様子(東京ソラマチのポップアップストアで)