全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長)が2月20日、東京都内で開いた理事会で、東京電力が4月1日から企業向け電気料金を平均17%引き上げる方針を示したのに対し、反対運動を起こすべきとの声が上がった。佐藤会長は前向きに取り組む姿勢を強調するとともに、全旅連挙げての運動を展開する上で、東電管内9都県の旅館ホテル組合すべてが東電や県、全旅連に対し、値上げ反対や反対運動の開始を求める行動を起こすよう求めた。
出席者の1人は「40部屋の旅館で年間180万円、大きい旅館では1千万円の値上げとなり、経営を圧迫する大きな材料となる。東電が値上げをすれば、他の電力会社も右へならえとなるだろう。値上げがゼロにならずとも、抑える努力をすべきだ」と訴えた。
佐藤会長は、東京都と神奈川県の旅館ホテル組合からすでに反対運動の実施を求める要望書を受け取っているとした上で、「2月13日の正副会長会議で(都県組合の要望に)協力態勢を取ると申し上げている」として、運動に前向きな姿勢を強調。組織挙げての運動とする前提として、ほかの県組合にも全旅連や東電、県などに対して行動を起こすよう求めた。
東電管内の都県旅館ホテル組合では、神奈川県旅館生活衛生同業組合が同13日、栃木県旅館ホテル生活衛生同業組合が同14日、また、群馬県旅館ホテル生活衛生同業組合も同22日、東電の西沢俊夫社長宛てに東電の地元支社を通して値上げ反対の要望書を提出。
「今回の値上げ発表は今までの企業努力を無にするもので到底容認できるものではなく、反対するものであります」(神奈川県旅組)、「風評被害による経営ひっ迫の状況から脱しようと最大限の努力をしている旅館ホテルの厳しい経営環境にさらに追い打ちをかけ、よって、地域経済全般の疲弊を招く恐れ大と言わざるを得ない」(栃木県旅組)と、強い口調で値上げの方針撤回を訴えている。
群馬県旅組も「原発事故の風評被害から脱しようと懸命に努力している旅館・ホテルの経営環境をさらに悪化させる」と反発、「実施の可否および内容について情報を公開するとともに、抜本的な見直しを行う」とした。
東京都旅組は東電宛ての文書案をすでに作成しており、近く提出する。山梨県旅組はまず、県に対して値上げ反対の要望書を提出する予定だ。静岡県旅組は全旅連理事会後の2月23日、全旅連に運動の実施を求める要望書を提出。3月1日には民主党の地元県連に値上げ反対の要望書を出す予定だ。