愛媛県の松山観光コンベンション協会(森本惇会長)は2月20日から1泊2日の行程で、旅行会社やメディアを対象にしたプレスツアーを実施、40人が参加した。松山市は「屋根のない博物館──フィールドミュージアム構想」に基づきまちづくりを進めており、その核となる「坂の上の雲ミュージアム」が4月28日にオープンする。ツアーでは旅行会社やメディア関係者に市の魅力を知ってもらおうと、同ミュージアムの内覧会や松山市内の観光スポットを紹介した。
市や観光コンベンション協会は99年から、故司馬遼太郎氏の小説「坂の上の雲」をテーマに、松山全域を屋根のない博物館に見立てた「フィールドミュージアム構想」を打ち出し、21世紀のまちづくりに取り組んできた。
同ミュージアムは建築家の安藤忠雄氏が設計。鉄骨鉄筋コンクリート造りの地上4階・地下1階建て。施設内部では計1296回にも及んだ産経新聞連載記事の壁面展示や、原作にも登場する正岡子規と秋山兄弟ら3人にちなんだ直筆資料などの展示がみられる。
また、江戸時代、明治時代の風景や風俗を映像やレプリカ、造形物などを用いて、日本が近代化していく過程を感じ取れるような展示計画となっている。
学芸員の石丸耕一さんは「ミュージアムの認知度を高めていくには、読者以外の女性や若者たちにどのようにアピールして、取り込んでいくかがかぎを握る」と課題を話した。
ツアーは、同ミュージアムを起点にメディア、旅行会社の2班に分かれフィールドミュージアム構想の地域として設定されている市内の観光スポットを巡った。メディア班は、秋山兄弟生誕地や道後散策を、旅行班は、ロープウェー街や松山城などを巡った。
ツアー終了後、松山全日空ホテルで意見交換会が行われ、中村時広市長は「松山は食材が豊富なところ。これはという郷土料理を宣伝していなかったが、瀬戸のまつやま海ごはんをテーマにした鯛めし、たこめし、あなごめしを宣伝していきたい。そして、2、3回訪れたくなるような物語性のあるまちづくりをしていきたい」と抱負を語った。
オープンを待つミュージアム