栃木県は、今年度から5年間の観光振興の指針となる「とちぎ観光立県戦略」を策定した。2020年に観光客宿泊数(延べ人数)を14年比約12%増の880万人、このうち外国人宿泊数(同)を14年の約2倍の30万人とするなどの目標を設定。観光コンテンツづくり、外国人旅行者の受け入れ環境整備などを強化する。特に、インバウンドの振興では、観光立県戦略に沿った行動計画「世界に通用する魅力ある観光地づくりプログラム」を併せて策定した。
栃木県の観光の現状では、14年の観光入込客数は8712万人で過去最高を記録したが、観光客宿泊数は788万人で東日本大震災前の水準に回復していない。14年の外国人宿泊数は14万6千人で3年連続で増加している。
観光立県戦略には、成果指標として宿泊数以外にも、20年に観光客入込数を14年比約11%増の9700万人、観光消費額を同約12%増の5240億円とする数値目標を掲げた。
目標達成に向けた日本人の国内観光の誘客策では、(1)地域資源を活用した年間を通じて終日楽しめる観光コンテンツづくり(2)テーマやストーリーの設定などによる周遊観光の促進(3)「食」の魅力を生かした誘客(4)ターゲットを定めた情報発信—などを挙げた。
外国人の海外誘客策では、(1)外国人観光客をひき付ける観光コンテンツづくり(2)有望市場に向けたプロモーションの展開(3)認知度向上や周遊観光の促進に向けた広域連携の強化—など。また、受け入れ態勢では、多言語対応や公衆無線LANなどを整備する。
観光地域づくりの促進策には、(1)人材の育成・確保(2)観光産業の競争力強化(3)DMO(観光地域マネジメント/マーケティング組織)の形成—を掲げた。
インバウンドに関しては、「世界に通用する魅力ある観光地づくりプログラム」を策定。外国人誘客の課題には、一部の自治体では観光振興の推進態勢が不十分であるほか、インバウンドのもたらす経済効果への認識不足やノウハウの不足などで、外国人の受け入れに消極的な観光事業者が相当数に上ることなどを指摘した。
施策では受け入れ態勢として、多言語での情報提供、通信環境、決済環境、安全対策などを推進。状況に応じて、最低限の取り組み▽計画を立てた基本的な取り組み▽地域の実情に応じた発展的な取り組み—の3段階で整備を進める。
外国人を魅了する地域づくりでは、体験プログラムを含めた観光プランを策定するなど、ターゲット市場に対する観光資源の訴求力を向上。複数の観光資源を組み合わせ、回遊や宿泊につながるモデルコースを造成する。飲食店や土産店ではクーポンを企画するなど消費を拡大する。
プロモーションでは、ターゲットに見合った展開を重視。行政の取り組みでは、海外旅行会社へのセールスや海外メディアへのアプローチを強化。民間の取り組みでは、ウェブサイトの情報発信、SNSの活用を推進する。