業務効率化、地域活性化に貢献 かんざし代表取締役社長 秋山匡秀氏に聞く


かんざし代表取締役社長 秋山匡秀氏

 かんざしは7月1日付で地方創生事業を行うエヌズ・エンタープライズと経営統合し、代表取締役社長には秋山匡秀氏が就任した。創業から代表取締役社長としてかんざしをけん引してきた林垣恵太氏は執行役員会長に就いた。「クラウドで繋(つな)いで世の中を便利にする」という企業理念、「広がったチャネルと散らばったデータを集約してより便利に」というミッションのもと、宿泊業界を中心に事業を展開してきたかんざし。さらに9月1日付でエヌズ・エンタープライズの事業がかんざしへ承継され、今後は秋山新体制のもと、既存事業に加えて新しい観光DXソリューションも提供していく。秋山新社長に話を聞いた。

 ――秋山社長はエアトリのご出身ですよね。

 「2007年エアトリ創業時から新規事業の立ち上げ・展開などに携わってきました。エアトリは16年に東証マザーズに上場し、17年に東証一部に鞍替え上場。その当時、私はITのオフショア事業を担当しベトナムに駐在していました。18年にはDeNAトラベルを子会社化。私は同年5月にエアトリインターナショナル(旧DeNAトラベル)の取締役に就任し、19年1月からエアトリの取締役も務めています。エアトリは国内航空券に強い会社だったのですが、海外旅行に強いDeNAトラベルを買収したことで、事業買収によってエアトリのプラットフォーム機能をさらに強化していこうという流れになり、JALの専売店として30年間の歴史を持つエヌズ・エンタープライズを傘下に収めました。同社社長も私が務めていたのですが、今回、かんざしとエヌズ・エンタープライズが経営も事業も統合したため、新生かんざしの社長に私が就任しました」

 ――エヌズ・エンタープライズはどのような会社だったのですか。

 「『新しい価値・ビジネスを創造し、地域地方に仕事を通じて機会を創出する。仕事を通じて、働くメンバーにも成長機会を創出する』というミッションのもと、『観光テック事業』と『HRテック事業』を展開してきた会社です。ITビジネスも行う旅行会社です」

 ――それをかんざしが承継したのですね。それぞれ、どのような事業ですか。

 「観光テック事業は、運営サービスである『ニーズツアー』で日本航空、ジェットスター・ジャパン、ピーチ・アビエーション等の航空券と、直接契約による全国の宿泊施設、そしてアクティビティやレンタカーなどの着地型商品等を組み合わせた独自の国内パッケージツアー商品をオンラインで販売しています。地方自治体との観光協定や連携によるプロモーションにより、地方から地方への交流人口拡大を目指して事業に取り組んでいます」

 「HRテック事業では、業務の最適化や効率化を実現するシフト管理システム『シフオプシステム』、多人数のアルバイトやパートの勤怠管理を低コストで実現する『勤怠プラス』、かんざしウェブ・コミュニケーション事業だったオンライン商談・面談サービス『どこでもSHOWBY』を統合後は加えてヒューマン・リソースをテーマにしたクラウドサービスとして展開しています」

 ――統合前のかんざしは「旅館・ホテル向けソリューション」に特化した会社でした。

 「新体制のかんざしでは、旅館・ホテルテック事業、HRテック事業、観光テック事業の3事業が一体となり、デジタルの力で観光DXを推進していきます。旅館やホテルの業務効率化、人材不足の解消を実現するITソリューションの提供、地域活性化を目指します」

 ――ITベンダーと旅行会社が事業統合したわけですが、ビジネス上でどのようなシナジーが期待できるのでしょうか。

 「両者は異業種なのでかけ離れて見えるかもしれませんが、実は極めて親和性が高いのです。双方とも日本全国の宿泊施設とお取引があり、事業間で既存顧客を紹介し合えます。旅館・ホテルの営業活動のご支援を日々行っているという点で、ビジネスの方向性が完全に一致しているのです」

 「旅館・ホテルテック事業は、旅館やホテルのさまざまな課題を解決する『業務効率改善&収益性向上のクラウドサービス』、HRテック事業は、人材不足の解決と働き方改革を実現する『HR分野のSaaSサービスとオンライン商談サービス』、観光テック事業は、交流人口・関係人口拡大に貢献する『地域活性化のECサービス』というふうに位置付けています」

かんざし代表取締役社長 秋山匡秀氏

【聞き手・kankokeizzai.com編集長 江口英一】

 

 
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