全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長)が楽天トラベルに対し、「アフィリエイト新システム」の導入撤回を求めていた問題で、全旅連は11日、システム導入に伴う宿泊施設側の負担の一部を1年間猶予する旨の回答を同社から受け取った。新システムの概要は今月15日から、同社の管理画面に掲載される。全旅連はこのほか、同社の予約システムに関わる二つの要望事項を提出。今月末までの回答を求めた。
アフィリエイトは、個人のブログなどに掲載された楽天トラベルなどのバナー広告を介して宿泊予約が成立した場合、ブログの開設者に成功報酬として宿泊料金の1%が支払われる仕組み。従来は楽天トラベルが負担していたが、来年1月の予約・宿泊分から宿泊施設の負担にするとともに、システム利用料として0.3%、合計1.3%を徴収する方針を打ち出していた。
11日に楽天から全旅連に示された新システムの内容は、アフィリエイター(ブログ等開設者)への成功報酬1%は1月から宿泊施設側が負担するものの、システム利用料0.3%は2015年1月の宿泊分から徴収するというもの。当初の予定から1年間先延ばしにした格好だ。
全旅連と楽天トラベルは10月31日に同問題に関する初の協議会を実施。同社の山本考伸社長が全旅連の佐藤信幸会長らに、旅館・ホテル側の要望を踏まえてシステムの内容について社内で再検討すると言及。今月7日に行われた第2回の協議会で、楽天側からシステム内容の当初の予定からの変更を提案していた。
ただ、全旅連はあくまで新システム自体の導入撤回を求める方針で、今後も継続的に交渉を進めるとしている。
新たに2点を要望
全旅連は11日、楽天トラベルに対し、同社の宿泊予約システムに関わる二つの要望事項を提出。
要望の一つは「未登録ユーザーの予約システムの改善」。楽天への未登録ユーザー(非会員)が宿泊予約を行う場合、偽名や虚偽の連絡先でも予約が成立し、ノーショーの際にキャンセル料が請求できないなど、“リスクの高い”仕組みになっている。
もう一つは「事後カード決済におけるキャンセル料支払いの改善」。事前(宿泊前)オンラインカード決済の場合、キャンセル料は宿泊施設側に自動的に支払われるが、事後カード決済では予約客の同意を必要とし、キャンセル料の徴収が保証できない仕組みになっている。
これら2点について全旅連の佐久間克文ネット対策・広報委員長が楽天トラベルの羽室文博国内営業部長に要望書を提出。今月末までの回答を求めた。
楽天トラベル・羽室部長(右)に要望書を手渡す全旅連・佐久間委員長