楽天トラベルは「オンラインカード決済」の内容を変更し、4月4日から運用を始める。利用者の宿泊代金の決済方法はこれまで「現地決済」「事前カード決済」の2種類だったが、これに「事後カード決済」を加える。利用者がカード決済を選択した場合、宿は楽天トラベルに対して、システム使用料(7〜9%)と楽天スーパーポイント(1〜10%)に加えて、カード決済手数料(2%)を負担している。
今回の内容変更では、カード決済手数料を2%か2.5%の選択制とした。宿が2.5%を選択した場合、楽トラから宿への入金回数が翌月1回から翌月2回となり「施設の資金繰りに寄与する」(楽トラ)という。
オンラインカード決済で不正があった場合の取り扱いについては、これまでは宿側の負担となり、楽トラは補償していなかったが、今後は「チャージバック補償」を導入。楽トラが実費分を補償する。
事前カード決済では、予約日に与信チェックとカード決済を完了。宿泊日までに取り消しが発生した場合のキャンセル料と、宿泊日に発生した不泊(ノーショウ)料については、楽トラが宿に保証している。
新設される事後カード決済では、予約日から宿泊日までの期間に与信チェックを行い、宿泊後にカード決済を行う。不泊料保証は行うが、キャンセル料保証は行わない。
観光経済新聞の取材に対して楽トラは、キャンセル料保証を行わない主な理由として(1)宿泊単品の手配旅行であること(2)カード利用に対する利用者の心理的ハードルを下げ、利用を促進するため──の2点を挙げた。
ただ、事後カード決済の場合でもシステム的にはキャンセル料の決済は可能なため、「キャンセル料保証については、4月4日の運用開始以降に検討していく」と話している。
周知の不備認める
楽天トラベルは8日、4月から運用を開始する「オンラインカード決済」の内容変更に関する説明会を箱根温泉旅館協同組合に対して箱根湯本温泉吉池旅館で行った=写真。斎藤克也・常務執行役員国内営業部部長ら7人が出席した。
杉山幹雄副理事長(和心亭豊月社長)は冒頭あいさつで「組合員104軒の8割は楽天トラベルと契約している。しっかりとした説明と修正をお願いしたい」と要望。
これに対して斎藤常務は「全契約施設に対して、1月5日にファクスで、また2月7日にファクスと管理画面で連絡をし、各営業担当から個別に説明をさせていただいているが、周知が足りていなかった」と素直に詫びた。
従来の案内文の中で、新設する「チャージバック補償」の原資確保のため、カード決済ごとに発生するトランザクションフィー(決済システム支払手数料)を従来の予約1件につき15円から20円に値上げするとしていた点について斎藤常務は、「多数のご意見をいただいた」として「13年3月末まで据え置く」と表明。宿泊プランの設定についても、現地決済のみのプランは廃止すると明記していたが、「事実上の手数料値上げだ」「カード利用不可の宿にとっては容認できない」などの声を受け、撤回した。
新設する「事後カード決済」では楽トラがキャンセル料を保証しない。このため「例えば外国人宿泊客からキャンセルが入り、キャンセル料を知らせてあるカードにチャージしてくれと言われた場合に、宿泊施設側は(楽トラから)カード番号を知らされていないため、対応することができない」と、欠陥を指摘する声が出席した組合員から上がったが、斎藤常務は「今後検討する」と回答するにとどめた。