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生沼GM=前方中央、丸山教授=前方左
武蔵野美術大学は1月28日、東京都「大学等と連携した観光経営人材育成事業」で実施している「デザイン経営人材育成講座」の第3回講座を東京都新宿区の同大市ヶ谷キャンパスで行った。JR東日本グループのモダンラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション(以下、メズム東京)」執行役員兼総支配人の生沼久氏が「インバウンド顧客が期待する〝TOKYO〟」と題して講演した。
メズム東京のコンセプトについて生沼氏は「既存のラグジュアリーは『社会的地位を誇示するための消費』だが、私たちはこれを再定義し、『自らの信念や生き方を鼓舞するための消費』としてモダンラグジュアリーに位置づけた」と説明。
同ホテルが提供している価値については「ゲストの五感を〝魅了(mesmerize)”し、インスピレーションを創出し、人生を豊かにする、がメズム東京のブランドフィロソフィー。常に変わりゆく街〝TOKYO〟の波長や躍動感を五感で感じる『いつ来ても新しい』日本発のモダンラグジュアリーホテルとして、新しい価値観に出会え、インスピレーションを刺激し、活力を与える体験をゲストに提供している」と述べた。
東京「モード」スタイルの代表格であるヨウジヤマモト社のジェンダーレスユニフォームを採用し、ホテルのコンセプト「TOKYO WAVES」と想いを表現するなど、メズム東京では随所で唯一無二を徹底的に追及している。コンセプトに共感したインバウンド客によるSNS発信で、独自ブランドが海外でも浸透し始め、同ホテルに宿泊することを目的に来日するゲストも増えているという。
生沼GM=前方中央、丸山教授=前方左
生沼氏は、「これからは『モノからコト』を超えて、『イギ(意義)』消費の時代になる。商品やサービスそのものの機能だけではなく、それらに付帯する社会的・文化的な価値にいかに共感して選択してもらえるかが重要」と強調した。
同大造形構想学部の丸山幸伸教授は、「尖ったイノベーティブなサービスには大きなリスクと労力が伴うが、メズム東京のデザイン経営はそこも踏まえている。サービスの作り手であるタレント(従業員)にメズム東京のコンセプトが浸透しており、ゲストの感情を揺さぶる模倣困難性を持つブランドが構築されている」と解説。サービス、ビジネスモデルなどをユーザー起点で構想、設計する〝デザイン〟の力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法である「デザイン経営」の好事例として、メズム東京を位置付け、紹介した。
グループワークの様子
同日の本講座は前半1時間30分を生沼氏の講義と丸山教授の解説、後半1時間をワークショップで構成。後半は参加者が5グループに分かれて、特定の宿泊客に対して行うメズム東京の新サービスを発案、発表するワークショップを行い、それぞれのアイデアに対して生沼氏が講評した。
定員25人に対して幅広い年代から2倍以上の応募があった同講座は、1月末から2月中旬に全6回を開催する。座学だけでなく、自らアイデアを創出、表現する美大ならではの創造性あふれる実践的なカリキュラムを提供。都内での写真撮影、素描といったフィールドワークも行うなど〝観光とアート〟の時代を感じさせる斬新な観光教育プログラムとなっている。