住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づき営業可能な届け出住宅数は、観光庁の9月8日時点の集計で、全国で2万407件となった。新法施行の2018年6月以降、増加が続いていたが、20年4月ごろから減少傾向。4月10日時点との比較で978件減少した。宿泊実績も低調で、届け出住宅における20年6~7月の延べ宿泊者数は前年同期比で8割を超える減少。新型コロナウイルスの流行、訪日外国人旅行者数の減少の影響を受けたとみられる。
20年4月10日から9月8日までの間に新規の届け出は1805件あったが、事業廃止の届け出が2783件に上り、届け出住宅数が減少した。9月8日時点で届け出住宅数が千件を超えているのは、大阪市、札幌市、新宿区(東京都)の3自治体。
大阪市は、新法施行後の累計届け出数が3971件だが、事業廃止が1799件で、届け出住宅数は2172件。札幌市は2985件の届け出に対し事業廃止が1115件で、届け出住宅数は1870件。新宿区は2071件の届け出に対し事業廃止が455件で、届け出住宅数は1616件。
届け出住宅における宿泊実績は、2カ月ごとに都道府県知事に報告することが法律で義務付けられている。20年6~7月の延べ宿泊者数は、前年同期比84.4%減の15万7212人泊だった。延べ宿泊者数が多い都道府県の状況は、東京都が前年同期比86.6%減の5万7739人泊、北海道が同89.4%減の1万7164人泊、沖縄県が同78.7%減の1万630人泊など。
延べ宿泊者数の推移を見ると、19年6~7月に民泊新法施行後で最高の101万308人泊に達し、以降も80万人泊以上で推移していたが、新型コロナの感染拡大で20年2~3月には42万1568人泊、4~5月は11万7855人泊となっていた。
6~7月の宿泊者数(実人数)を見ると、前年同期比78.9%減の6万6535人。国籍別の内訳は、訪日客が同97.8%減の5822人、国内客が同25.0%減の6万713人だった。新型コロナの影響で訪日外国人旅行者数が実質ゼロとなる中、これまで民泊宿泊者の7割前後を占めていた訪日客が大幅に減少した。