沖縄県と沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合(宮里一郎理事長)は6月25日、県内の離島やへき地に住むがん患者と付添人を対象に、沖縄本島の医療機関で放射線治療を行う場合、本島にある同組合加盟の宿泊施設で宿泊費の割引が受けられる制度を7月1日から開始すると発表した。県保健医療政策課によると、同様の制度は九州各県にはなく、全国的にも珍しい制度という。
患者らにとって、宿泊を伴う治療は費用負担が重く、滞在費の削減は切実な問題だった。このため、県と同組合は昨年11月、患者らの滞在費の負担軽減を図る目的で「離島へき地のがん患者等の宿泊支援に関する協定」を締結した。
締結時は今年4月からの実施を予定していたが、同組合と医療機関側の準備が遅れていたため、7月開始にずれ込んだ。
割引対象になる人は、放射線治療を受けるため宿泊が必要になる、本島との間に橋がかかっていない離島、さらに放射線治療ができる医療機関がない本島の名護市以北に住む患者と付添人。
割引を実施する宿泊施設は、同組合の加盟施設のうち、趣旨に賛同した那覇市内を中心とする40施設。割引分は施設が負担し、割引率は20〜40%程度になる見込み。
治療実施医療機関は本島中南部にある7施設。県は割引対象者に対して登録票を交付するが、実際の事務作業は医療機関が行う。
宿泊施設は、予約受付時に登録票の番号を記録し、患者らのチェックイン時に登録票の提示を求める。患者らは、主治医が治療計画で示した期間中、割引を受けることができる。