福岡県旅行業協会(眞武祐一会長、103会員)は1月24日、福岡市の八百治博多ホテルで「法定・事故対策セミナー」を開催した。リスク対策を講じながら、変化する旅行ニーズに対応するのが目的で、会員約50人が参加した。
冒頭、東和範理事が「旅行トラブルワースト5を防ぐ方法について」と題して講演。旅行前、旅行中、旅行後に発生しやすいトラブルとして「取消料」「手配内容」「申し込み・契約」「パスポート・ビザ」「情報提供」の5項目を挙げ、事例を交えながら具体的な対応策を解説。「クレーム客をリピーターに変える」という視点から、クレーム対応の重要性を強調した。
続いて、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏が「今後の旅行業のあり方・消費者の旅行ニーズについて」講演=写真。旅行がテレビで話題になるのは平和な時や政府が旅行を喚起している時であると指摘し、旅行は究極の「非日常」体験であり、日常から離れることの重要性を強調。一方で、若年層における旅行への関心の二極化が進んでいる現状も示した。
海外旅行については、円安の影響で日本・ホノルル間の往復航空券が1年前の2倍になっている現状や、ドジャースの大谷翔平選手を応援するための渡航など、旅行目的の多様化が進んでいることを紹介。特に「推し活」が旅行の大きな動機となっている現状に触れ、高額なチケットやグッズの購入事例などを挙げ、観光の多様性について解説。
また、リモートワークの普及が出張の減少をもたらす一方で、旅行の機会創出にもつながっていることや、コロナ禍で注目されたマイクロツーリズムから「遠くへ行きたい」という旅行本来の欲求への回帰、2024年の訪日外国人旅行者数が3687万人に対し、出国日本人数が1300万人と大きな差があること。また、パスポート保有率の低下(19年23%から24年17%)などをデータに基づき説明。
訪日外国人消費額の増加にも触れ、今後の課題として最高級ホテルや旅館の不足を指摘し、それらを軸とした地域活性化の可能性を示唆した。
最後に、大阪・関西万博への期待や、「旅行はネット時代だからこそリアルでなければ成立しない。若い人に旅行に行って見聞を広めてほしい」と講演を締めくくった。
セミナーの様子