神奈川県海老名市は、在宅介護者に日ごろの介護疲れを解消してもらおうと、箱根温泉の宿泊施設の利用料などを助成する事業を今年度から始めた。箱根町の箱根温泉旅館協同組合(榎本孝弘理事長、104軒)と協定を結び、対象者の受け入れに協力してもらうことになった。期間は今年度末まで。
事業名は在宅介護者リフレッシュ事業。寝たきりや認知症などの要介護者を在宅で介護している家族らが助成の対象になる。
箱根温泉の宿泊施設を利用する際、日帰り利用で500円、宿泊利用で6千円を対象者に助成。日帰りについては、海老名市内の温泉施設も対象にする。
同事業ではマッサージなどを受ける費用も助成の対象となっており、温泉施設の利用などを含めて、介護者1人当たり年間1万2千円が助成の上限。助成の対象者となるのは、要介護度4、5の人の在宅介護者で、市内で300人弱と見込んでいる。
海老名市保健福祉部高齢介護課は「介護する側の温泉施設の利用を助成する事業は珍しいのではないか」と話す。介護者が緊急の際にすぐに自宅に戻ることができる距離にあることなどから箱根温泉に協力を依頼したという。
3月28日には榎本理事長、山口昇士箱根町長、内野優海老名市長が出席し、海老名市役所で事業の協力に関する調印式が行われた。
箱根温泉旅館協同組合は「高齢化社会を迎え、箱根温泉として地域の福祉施策に貢献したいと協力を決めた。介護者の皆さんに温泉でゆっくりしてもらいたい」と話している。受け入れる旅館・ホテルは、助成事業の利用者の本人確認や費用の精算に協力する。