温泉地専門チーム編成 アゴダ 北アジア統括・日本社長  大尾嘉宏人氏に聞く


アゴダ 北アジア統括・日本社長  大尾嘉宏人氏

テクノロジーで集客を支援 自治体連携でアジア人誘客

 ――22年に温泉リゾートチームを立ち上げた。何に取り組んでいるのか。

 「代表的な33温泉地域をターゲットエリアに設定し、7名の体制で旅館・ホテルを回らせていただいている。アゴダの強みはアジアからのインバウンドだが、いま訪日客の目は温泉地に向いている。そして1泊2食付きのためADRは国内主要都市よりも高い。アゴダは競合する国内外OTAよりも温泉地に弱かったため専門チームを立ち上げた」

 ――33温泉地域とは具体的にどこか。

 「エリア名で申し上げると、箱根、湯河原、草津、水上、渋川、那須、那須塩原、日光、松本、長野、富士河口湖、山梨、湯沢、下呂、高山、鳥羽、熱海、伊豆、神戸、豊岡、京都、大津、白浜、指宿、阿蘇、南小国、長崎、雲仙、別府、日田、由布、佐賀、嬉野だ」

 ――宿泊施設には何を提案しているのか。

 「もちろん契約宿泊施設の活性化と契約施設数の拡大が目的。アゴダの管理画面はYCS(イールドコントロールシステム)と呼んでいるが、このYCS等を通じて、さまざまなアゴダのテクノロジーを活用することができる。個別訪問やオンライン、あるいは勉強会の実施などで効率的な活用方法をお伝えしている。販促プロモーションや各種ソリューションのご提案もさせていただいている」

 ――宿泊業は人手不足に最も悩まされている業種の一つ。DXによる業務効率化、集客効率化が急務だ。どのようなソリューションがあるのか。

 「例えば、包括的なマーケティングプログラムであるAGP(アゴダ・グロース・プログラム)をご導入いただくと、アゴダサイトに加えて1万社以上の提携パートナーにも露出する。AGP導入施設の予約流入比率はアゴダ40%、アゴダサイト外60%となっており、予約獲得効果は絶大。提携パートナーの他にも、アフィリエイト、料金比較サイト(メタサーチ)、ペイパークリック広告、SNS広告などで露出する」

 「AGPの簡易版としてAGX(アゴダ・グロース・エクスプレス)もある。AGPではアゴダ以外でもお宿を露出して、強い集客プロモーションをかけるのだが、AGXではアゴダのサイト内での露出を強化する。オンライン宿泊予約では全予約の90%は1ページ目の掲載施設に集中する。AGXでは、クリック一つで表示ランクアップの設定ができる。キャンペーンの対象期間や対象顧客など適用範囲を自由に設定することができ、競合施設より優位になる方法をAIがアシストしてくれる。順位改善の進捗(しんちょく)や成果はYCS上でいつでも確認が可能だ」

 ――地域へのインバウンド誘客をサポートする場合、自治体やDMO等との連携も重要となってくる。

 「20年にGo Toトラベル、22年から23年にかけて全国旅行支援に参画し、アゴダのテクノロジーとローカリゼーションで国内旅行市場の回復にも貢献させていただくことができた。クーポンによる旅行商品の割引という機能は元々アゴダには備わっていなかったのだが、これを機に開発し、日本のアゴダ発祥の新しいグローバル機能として各国向けに供給することができた。この経験を通じて、地方自治体がインバウンドビジネスの回復、拡大にアゴダを活用していただけることに気づいた」

 ――クーポン機能を使ってアジア各国向けに集客プロモーションを打てると。

 「アゴダは宿泊だけでなく、航空券、その他交通手段、アクティビティなど幅広い商品を提供する総合的なプラットフォーム。例えばアクティビティへの誘客も可能だ」

 ――現在、どこの自治体と連携しているのか。

 「コロナ以前は奈良県、九州観光機構のお手伝いを、コロナ以降は岡山市、浜松市、北九州市、栃木県のお手伝いをさせていただいている」

 


 おおおか・ひろと氏 愛知県出身。1994年慶応大経済学部卒、凸版印刷入社。1999年から2002年まで米国西海岸に駐在。04年にロチェスター大学MBAを首席で卒業。帰国後、同社デジタルコンテンツ事業部門の管理部門責任者に就任。07年に楽天グループに移り、国内、海外の買収企業のPMIを現地役員として担当。11年、楽天グループ執行役員就任。14年に楽天モバイルを立ち上げ、同社常務執行役員として営業部門とマーケティング部門を統括。20年3月にブッキングホールディングスグループのアゴダに参画し、アゴダ・アソシエイトバイスプレジデント北アジア統括、アゴダインターナショナルジャパン代表取締役就任。北アジア地区の統括責任者として、日本と韓国、台湾を管掌。【聞き手・kankokeizai.com編集長 江口英一】

 
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