源泉湯宿を守る会が見学会実施


あせび野の源泉を見学する参加者

あせび野の源泉を見学する参加者

 源泉を放流式で利用している宿がつくる「源泉湯宿を守る会」(平野富雄会長)の源泉見学会が6、7の両日、静岡県伊豆市の嵯峨沢温泉「湯宿嵯峨沢館」(植田将歳代表取締役)で行われた。会員旅館ら23人は伊豆半島の温泉の泉質や温泉表示について学んだのち、意見交換を行った。

 源泉見学会は4回目。これまで中房温泉(長野県安曇野市)、桜田温泉(静岡県松崎町)、鶴の湯温泉(秋田県仙北市)で開かれている。

 見学会では平野会長から「伊豆半島の火山と温泉」とのテーマで講演が行われた。平野会長は熱海や伊東など東伊豆と湯ヶ島など中伊豆の温泉の性質を解説。火山性温泉と非火山性温泉の仕組みや成分の違いについて、「火山性と非火山性、どちらの性質をも持っている温泉もあるのではっきりと線引きすることは難しい。だが、自館の温泉成分について認識を深め、その効能や源泉の状態を常に把握することが大切」と強調した。

 本国会で成立予定の温泉法についても質問や意見交換が行われた。「10年ごとの温泉成分の調査は重要。泉質の変化を知ることで、温泉資源の渇枯状況も知ることができる」(平野会長)。

 参加者は嵯峨沢館のほか、姉妹館の湯ヶ島温泉「谷川の湯あせび野」の源泉と露天風呂なども見学。写真を撮りながら熱心に質問する姿が見られた。

 源泉湯宿を守る会は現在、正会員として45軒を認定。5月にはさらに1軒が正会員となる予定だ。入会には、源泉または分湯権の所有▽浴槽は源泉掛け流しで、客1人あたり毎分1リットルの目安で給湯されている▽源泉が1年を通して適温で給湯されている▽安全上、加水・加温が必要な場合は性状の変更を最小限に留めるよう努力し、源泉と浴槽の成分の違いを表示する──ことが義務づけられている。また温泉表示も、独自に「宿泊客1人当たりの温泉量」など8つの項目を掲示するよう定めている。

 事務局長の佐々木富貴子氏は「入会資格が厳しいと思われるかもしれないが、温泉事業者が自ら厳密な基準を守ることが温泉資源と温泉文化の保持につながる。多くの人に本物の温泉の良さや効能を感じてもらいたい」と話す。

 同会では今後も源泉見学会などを実施し「源泉掛け流し」を訴えていく。

あせび野の源泉を見学する参加者
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