国土交通省は、企画旅行について、国際線運賃の燃油サーチャージ(特別付加運賃)を旅行代金に含めて徴収し、パンフレットや広告では総額を表示するよう旅行会社に通達する。従来の通達を改定し、今月下旬から適用したい考え。ただし、当面の間、旅行代金と別に徴収する方法として、燃油サーチャージの目安となる金額を「見やすい大きさで旅行代金に近接して記載」することも併せて認めることにする。
燃油価格の高騰に伴いサーチャージの金額が上昇している状況を踏まえ、「旅行者により分かりやすい表示方法の周知徹底を図る」(国交省観光事業課)。改定の内容は13日に公表した。26日まで意見募集(パブリックコメント)した後、適用する予定だが、旅行会社がすでにパンフレットなどを作成していることを考慮し、9月末までの経過期間を置く。
現在のパンフレットなどのほとんどは、通達に沿って、旅行代金に近接して「燃油サーチャージが別途必要となる旨」が記載されている。燃油サーチャージは、航空会社に代わって旅行会社が徴収しているが、旅行者に仕組み自体が十分に認知されていないこともあり、説明や苦情対応の負担が増している。
旅行代金に含めて表示する方法は、燃油サーチャージの金額は明示せず、旅行代金に「含まれている旨」を記載する。この表示方法では、旅行契約の成立後は、燃油サーチャージが増減しても、原則として差額の徴収はできない。このため観光事業課では、旅行代金の変更について定めた約款の検討などを今後の課題に挙げている。
旅行代金と別に徴収する方法は、従来通りの別途に必要になるとの説明文に加え、旅行代金に近接して燃油サーチャージの金額を記載する。燃油サーチャージは、四半期ごとに変動するため、未確定の場合は基準日を明記した上で目安となる金額を記載する。この方法を採れば、差額は徴収することができる。ただ、この場合でも「合計額を記載することが望ましい」(同課)とした。
日本旅行業協会(JATA)は、徴収現場での負担とともに、旅行需要への影響などを懸念し、燃油サーチャージの仕組みや徴収方法、広告表示などの再検討を航空会社や国交省に要望している。航空会社には、商品の企画・販売サイクルに合わせた6カ月単位で、燃油サーチャージ込みの旅行商品造成用運賃(新IT運賃)を設定するよう求めている。