国内初の本格的ワイン醸造施設「牛久シャトー」で8月27、28日、日本遺産をPRするイベント「牛久シャトー日本遺産フェスタ」が開かれた。27日の式典では、ワイン通として知られる俳優の辰巳琢郎さんが同施設の名誉館長に就任。辰巳さんは「日本ワインを約20年間嗜んでいるが、歴史は着々と積み重なっている。文化は、地域に根差すことで持続可能なものになる。ワイン会などでワインに触れ合うきっかけを作りながら、牛久のワイン文化を広めていきたい」と語った。
牛久シャトー日本遺産フェスタは、茨城県の日本遺産認定3市(水戸市、笠間市、牛久市)、牛久市と共同認定を受けた山梨県甲州市、神谷傳兵衛のふるさと愛知県西尾市が一堂に会するイベント。式典のほか、日本遺産の特別展示や参加自治体の特別販売コーナー、商品券が当たる抽選会などが行われた。
式典には、ワイン文化日本遺産協議会の根本会長(牛久市長)や鈴木幹夫副会長(甲州市長)、河村建夫特別顧問(自民党副総裁特別補佐)のほか、来賓として茨城県選出の衆院議員の葉梨康弘法相、文化庁の飛田章参事官(文化観光担当)などが出席した。
式典では冒頭、同協議会の根本会長が「牛久シャトーは国の重要文化財であるなど文化的な価値があるだけでなく、おいしい料理、ワインを提供する場でもある。観光のシンボルとして、日本遺産、ワイン文化を受け継ぐ場所にしていく」とあいさつ。誘客に向けては「甲州市など関係する自治体との連携が不可欠」と強調した。
鈴木副会長は、「甲州市は7月18日に世界農業遺産に認定された。牛久とともに進めるワイン文化も混ぜながら、より大きな活動にしていく」と方針を示した。
河村特別顧問は、「牛久、甲州の協力のもと、素晴らしいワインができている。日本遺産をPRするにはストーリーが大切であり、140年の歴史や官民一体の取り組みなどを紹介していきたい」と話した。
来賓として参加した葉梨法相は、「牛久には少年院の施設や農芸学院など大きな施設が集積している。日本遺産の認定を契機に、少年院でブドウを作り、牛久シャトーでワインを作るなど、新たな価値への創造が期待でいる。ぜひ、日本で1番古いワイナリーを日本のワインのメッカにしようではありませんか」と、日本遺産に関連する活動への参画を呼び掛けた。
飛田参事官は、「2015年から認定が始まった日本遺産は、今や104件へと広がった。素晴らしい伝統、文化を国内外の人に認識させることは、地域の活性化、観光振興につながる。官民連携しながら、保存、伝承し、一層の磨き上げに努めてほしい」と今後の取り組みに期待した。
このほか、同協議会と近畿日本ツーリスト、クラブツーリズムによる包括連携協定の説明などが行われた。
牛久シャトーの名誉館長に就任した辰巳琢郎氏