物価上昇の影響「2年前より感じる」89%  紀尾井町戦略研究所が物価高に関する意識調査


 紀尾井町戦略研究所は2月21日、物価高に関する意識調査の結果を発表した。それによると、物価上昇の影響を「2年前より感じる」が89%となった。

新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティングを行う紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI、本社:東京都港区、代表取締役社長:別所 直哉)は、月に2回程度、時事関係のトピックを中心としたWeb調査を全国の18歳以上の男女1,000人に行っています。

■調査の概要

昨年(2023年)の春闘における賃上げ率は約30年ぶりの高水準でしたが、物価高騰などの影響で実質賃金は2年連続マイナスとなりました。本調査は2022年5月と2023年3月に実施した物価高に関する意識調査の第3回です。2月14日に全国の18歳以上の男女1,000人に実施しました。2023年の調査では、物価高により生活に打撃を受けた人の割合が、2022年の調査結果から16ポイント増加し、9割を超えていることが明らかになりました。

■​調査結果サマリ

2年前に比べて物価高による生活への影響を「かなり感じている」「ある程度感じている」が計89.7%に達した。「かなり感じている」人の割合は、全体的に年収が低いほど高い傾向があった。具体的に物価上昇を感じる場面を複数回答で聞くと、上位3位は「食料品の購入」89.7%、「日用品の購入」67.8%、「電気、ガスなどの光熱費」59.1%の順となった。

物価高騰対策として実施していることを複数回答で聞くと、最多は「ポイントやクーポンの活用」61.8%で、「ディスカウントストアなど安売りのお店で買う」45.4%、「食費の削減」45.1%が続いた。物価上昇が今後も続く期間は「1年以上5年未満」が47.8%で最多だった。

今年6月から行う計4万円の所得税と住民税の定額減税について、いわゆるばらまきで不適切だと思う人が35.3%で最多となり、減税額が少ないなど不十分だと思う人が23.1%で続いた。子育て世帯への家計支援で重点的に行うことを聞くと、現物給付46.8%、現金給付43.8%と拮抗。国家財政規律の維持より物価高対策を優先すべきだとした人が62.2%を占め、岸田首相が目指す物価上昇を上回る賃上げが24年に実現すると思わない人が76.4%に上った。

ガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除については「凍結解除し、補助金も継続すべきだと思う」が40.3%で最多となり、「凍結は解除するが、補助金継続は必要ないと思う」が25.1%で続いた。解除を求める声は計65.4%となった。解除を求めた人を支持政党別に見ると、国民民主党は9割台、公明党は8割台、自由民主党は7割台だった。

日本銀行が望ましい形で2%の物価上昇を確認できた段階で大規模金融緩和を修正する見通しであることについて、金利が上がる世界を「容認できる」「ある程度容認できる」が47.0%だったのに対し「容認できない」「あまり容認できない」35.5%だった。

岸田内閣を「支持する」11.8%(前回1月17日13.3%)、「支持しない」74.9%(73.1%)。女性で支持する人は一桁となった。

  • 2024年度当初予算案では物価高対策に柔軟に使うためとして「物価・賃上げ促進予備費」1兆円を計上したことを「やむを得ないと思う」が最多の48%を占め「不適切だと思う」20.8%が続いた。(Q6)
  • ガソリン価格高騰時に政府が発動してガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除に関し「凍結解除し、補助金も継続すべきだと思う」が40.3%で最多となり、「凍結は解除するが、補助金継続は必要ないと思う」が25.1%で続いた。解除を求めた人は計65.4%となり、政党支持層別に見ると、国民民主党は9割台、公明党は8割台、自由民主党は7割台だった。(Q7)
  • 24年度当初予算案の一般会計の歳出総額が、社会保障費増加や物価高対策のためとして過去2番目の112兆717億円に上ったことを「やむを得ないと思う」が49.1%で最多となり「不適切だと思う」32.8%が続いた。(Q8)
  • 物価高対策などのため今年6月から納税者と扶養家族1人当たり計4万円の所得税と住民税の定額減税が始まることを「いわゆるばらまきで不適切だと思う」35.3%が最多で「減税額が少ないなど不十分だと思う」23.1%が続いた。(Q9)
  • 物価高対策と国家財政規律の維持では「物価高対策」を優先すべきとした人が62.2%を占めた。(Q10)
  • 24年に岸田首相が目指す物価上昇を上回る賃上げが「実現すると思わない」人は76.4%に。(Q11)
  • 2年前に比べて物価高による生活への影響を「かなり感じている」「ある程度感じている」が計89.7%に達した。「かなり感じている」とした人を年収別に見ると、全体的に見て収入が低い人ほど多い傾向が見られた。(Q12)
  • 具体的に物価上昇を感じる場面を複数回答で聞くと、上位3位は「食料品の購入」89.7%、「日用品の購入」(67.8%)、「電気・ガスなどの光熱費」59.1%の順となった。(Q13)
  • 自身が物価高騰対策として実施していることを複数回答で聞くと、最多は「ポイントやクーポンの活用」61.8%で、「ディスカウントストアなど安売りのお店で買う」45.4%、「食費の削減」45.1%が続いた。(Q14)
  • 物価高騰時に限らず、子育て世帯への家計支援で重点的に行うことを聞くと「現物給付」46.8%、「現金給付」43.8%と拮抗した。年齢別に見ると10代から30代は現金給付の割合が多かったが、40代以降は現物給付の割合のほうが多かった。(Q15)
  • 物価上昇が今後も続く期間は「1年以上5年未満」とした人が47.8%で最多だった。(Q16)
  • 日本銀行は望ましい形で2%の物価上昇を確認できた段階で大規模金融緩和を修正する見通しであることについて、金利が上がる世界を「容認できる」「ある程度容認できる」が47.0%だったのに対し「容認できない」「あまり容認できない」35.5%だった。(Q17)
  • 次期衆院選の小選挙区で投票したい候補者の政党を聞くと、上位は自民15.1%(前回1月17日15.3%)、日本維新の会11.3%(10.9%)、立憲5.2%(5.8%)、国民5.2%(4.4%)の順となった。(Q18)
  • 次期衆院選の比例代表で投票したい政党は、自民13.7%(14.9%)、維新11.9%(11.6%)、国民5.8%(5.3%)、立憲5.0%(5.0%)の順となった。(Q19)
  • 岸田内閣を「支持する」11.8%(13.3%)、「支持しない」74.9%(73.1%)だった。「支持する」人は、女性では一桁となった。(Q20)
  • 政党支持率は自民16.2%(17.9%)、立憲4.1%(4.3%)、維新10.1%(9.4%)、公明1.1%(1.3%)、国民3.9%(4.5%)、共産2.1%(1.5%)、れいわ新選組1.6%(3.3%)、社民党0.1%(0.1%)、みんなでつくる党0.1%(0.2%)、参政党0.1%(0.3%)、教育無償化を実現する会0.2%(0.0%)、その他の政党・政治団体0.7%(0.4%)、支持する政党はない55.2%(54.9%)。(Q21)

調査レポートの詳細     https://ksi-corp.jp/topics/survey/2024/web-research-64.html

 


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