内閣府はこのほど、今年4月の景気ウォッチャー調査の結果を公表した。同月の景気の現状判断DI(季節調整値)は前月比9.9ポイント減の39.1と、3カ月ぶりに低下。景気の先行き見通しDI(同)も低下した。ウォッチャーの見方について内閣府は「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる」「先行きについては、感染症の動向に対する懸念が強まっている」とまとめられるとした。
DIは宿泊、運輸、飲食など、地域の景気の動きを観察できる人々に3カ月前と比べた景気の現状、2~3カ月先の景気の先行きについて、「良い」「どちらともいえない」「やや悪い」など5段階で判断してもらい、結果を数値化したもの。
現状判断DIは、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てのDIが低下。家計動向関連の中でも、サービス関連、飲食関連、小売関連、住宅関連の全てが低下した。飲食関連が20.5ポイント減(23.3)と、減少幅が大きかった。
先行き判断DIは8.1ポイント減の41.7。現状判断DIと同様、全てのDIが低下した。
景気判断理由の主な回答は次の通り。
「依然として海外からの予約が皆無である。国内の団体旅行も不振が続いている。一方、コンサートやイベントに伴う宿泊客は回復傾向にある」(現状、不変、北海道、観光型ホテル)。
「3カ月前は完全休業日がほとんどだったが、4月は平日の予約もあり、週末の予約も入ってきている。しかし、完全に良くなっているということではない」(現状、やや良、東北、観光型旅館)。
「新型コロナウイルス感染再拡大の影響で、多くの都道府県で感染者が増えてきている。また、首都圏を中心に、緊急事態宣言が再発出された影響も大きい」(現状、悪、北関東、観光型ホテル)。
「まん延防止等重点措置の適用や緊急事態宣言の再発出等の影響で、宿泊、飲食共に客足が途絶えている」(現状、悪、南関東、都市型ホテル)。
「当地のまん延防止等重点措置の適用、4都道府県の緊急事態宣言の発出で、宿泊は減少した。レストランは、夕食はほぼ客がない。宴会も少人数の会議が週1件程度あるのみである(現状、やや悪、東海、都市型ホテル)。
「新型コロナウイルスの感染者数の増減に応じて、予約数が変動する」(現状、不変、近畿、観光型旅館)。
「観光業界においては、Go Toトラベルキャンペーン再開のめどが全く立たず、観光支援事業においても先行きが見通せない状況である。都市部での緊急事態宣言の発出により、店頭への来店およびオンラインによる予約も減少し、さらにキャンセルが続出している」(現状、やや悪、四国、旅行代理店)。
「予約を受けたり取り消したりを1年以上繰り返している。空仕事ばかりで経費ばかり掛かり利益も出ない」(現状、不変、沖縄、旅行代理店)。
「新型コロナウイルスのワクチン接種や感染状況が改善し、行動制限がなくなれば、自然と客の動きが出てくると思われる。ただし、現状の受注状況を見ると非常に少ないので変わらない」(先行き、不変、甲信越、旅行代理店)。
「これ以上悪くなる要素はないが、淡い期待を持っていた夏以降の取り扱いも絶望的になってきている。新型コロナウイルスのワクチン接種の効果も見通しが全く立たず、不安しかない。政府には観光・旅行業界を守る措置をいい加減、講じてほしい」(先行き、やや悪、東海、旅行代理店)。