インバウンドの急回復により客室稼働が高まっているとされる旅館・ホテルなどの宿泊施設だが、訪日外国人客が持ち込む荷物に紛れたトコジラミによる被害が広がっているという。そこで、ダスキン(大阪府)のトコジラミ駆除を手掛けるターミニックス事業部の山中大氏=写真=に、旅館・ホテルなどの宿泊施設におけるトコジラミによる被害の現状と、同社の駆除サービスの概要などを聞いた。
――旅館・ホテルのトコジラミ被害の現状は。
宿泊施設、一般住宅を問わずに問い合わせが増えている。その件数は、コロナ前でインバウンド需要もあった2019年と比較しても当時の1.5~1.7倍の感覚だ。
――トコジラミとは何か。
米国ではベッドバグ(ベッドの虫)と呼ばれる。ベッド回りやカーテン、家具や枕の隙間、額縁や畳の隙間などに生息し、日中は姿を見せず、夜間に活動する。人の呼吸により排出される二酸化炭素(CO2)などに反応し近づき、血を吸う。吸われるとひどいかゆみが発生するといわれている。
――ダスキンの駆除サービスの特徴は。
最大の特徴は、薬剤だけに頼らない人と環境に配慮した駆除方法だ。まずは、プロの目でトコジラミの生息を調査しながらバキュームで吸い取り、冷却剤(スノードライアイス)を噴霧して、隙間に潜むトコジラミと卵を駆除する。
その後、生息していた場所や隙間に薬剤を注入。専用トラップで生息調査を実施し、駆除作業の7~10日後に駆除効果を確認する。初回点検から約10日後に再度、駆除効果を検証する。別途、トコジラミの発生を抑える定期的な点検・予防サービスも評価されている。
――オプションの高濃度二酸化炭素を使用した駆除も評価が高い。
このサービスは特許を取得しており、熱処理などで素材を損ないたくない、人が触れるので薬剤を散布できない、といった素材に使用できる。例えば、ぬいぐるみやテレビのリモコン、ホテルの額縁なども使用可能だ。こういった製品を袋の中に入れて、CO2を充填して駆除する。
――最近、害虫駆除の捕虫器をリニューアルした。
中型LED捕虫器だ。食事処やレストランの厨房はもちろん、インテリア性が高く、客席にも設置できる特徴がある。虫が好む紫外線で誘引し、粘着式のシートで捕獲するため音が発生しない。
――コスト面も評価されている。
LEDランプを使用しているため省電力を実現している。特別な電気工事は不要で、縦置きもでき簡単に移動できる。
――最後に旅館・ホテルへメッセージを。
トコジラミは薬剤に対する抵抗性が高く、一般の殺虫剤では駆除が難しいといわれている。旅館・ホテルの皆さまが自力で駆除するのは難しいので、何かあったら当社に連絡してほしい。
当社のサービスは、米国ターミニックス社のライセンスを持っており、同社の先端の駆除技術を使用し、かつ、社内研修で駆除技術の習得認定を受けたプロのスタッフが徹底して駆除を行う。
高濃度二酸化炭素処理の様子