エコツーリズム推進法に基づき環境省などは11日、廿日市市(広島県)が策定した「宮島エコツーリズム推進全体構想」を認定した。瀬戸内海国立公園に位置し、世界遺産の厳島神社で知られる宮島エリアは、群生林や渓流、湿地帯、砂浜などの自然資源に恵まれ、環境保全と両立した付加価値の高いエコツアーの推進が期待される。エコツーリズムの全体構想の認定は全国で18地域となった。
宮島エリアの自然観光資源は、弥山、駒ケ林などの群生林、白糸の滝などの渓流、七浦と呼ばれる宮島周辺に点在する砂浜や湿地帯、シカやハクセンシオマネキ、テッポウウオといった動物など。厳島神社をはじめとする寺社群、伝統的な信仰や祭礼、漁業文化なども資源に含まれる。
エコツーリズムの推進地域は、宮島全域と周辺の海域。ツアーの実施に当たっては、来島する観光客に「資源に対する畏怖・尊敬の念」の意識を醸成できるよう取り組み、地元の関係者や団体が利益を享受できる仕組みの構築を目指す。
エコツーリズムを推進する協議会の構成団体は、瀬戸内海エコツーリズム協議会、宮島観光協会、宮島地区パークボランティアの会、宮島地域コミュニティ推進協議会、宮島町漁業協同組合、宮島町商工会、広島県、廿日市市など。実施する主なエコツアーは、弥山登山道沿道や海浜での生物・植物観察ツアー、海浜の清掃活動体験、船上での神社参拝ツアーなど。
エコツーリズム推進法は2008年4月施行。これまでの全体構想の認定地域は次の通り。
飯能市(埼玉県)▽慶良間〈渡嘉敷村・座間味村〉(沖縄県)▽谷川岳〈みなかみ町〉(群馬県)▽鳥羽市(三重県)▽名張市(三重県)▽南丹市美山(京都府)▽小笠原村(東京都)▽弟子屈町(北海道)▽上市町(富山県)▽石鎚山系〈西条市、久万高原町〉(愛媛県)▽串間市(宮崎県)▽奄美群島〈12市町村〉(鹿児島県)▽檜原村(東京都)▽下呂市(岐阜県)▽赤城山〈前橋市〉(群馬県)▽阿蘇〈8市町村〉(熊本県)▽吉野川紀の川源流〈川上村〉(奈良県)