処理技術の普及見通せず
環境省の審議会が3月23日に開かれ、適用期限が6月30日に迫っていた温泉旅館に係るホウ素、フッ素の暫定排水基準について、「当分の間」維持することが決まった。日本温泉協会などは、安価な排水処理装置が普及していないとして、一般排水基準より規制が緩やかな暫定排水基準の延長を求めていた。これまでのように3年ごとの見直しがなくなり、処理装置が普及しないうちは暫定措置が維持されるとみられる。環境省は今後、省令を改正し、7月1日以降も暫定排水基準を維持する。
2001年7月、水質汚濁防止法により特定事業者のホウ素、フッ素などを含む排水に関する規制が強化された。ただ、基準への対応がすぐには難しい温泉旅館を含む業種については、期限を設けて暫定排水基準が適用された。その後、温泉旅館などの業種に対しては、3年ごとの基準の見直し、暫定措置の延長が繰り返されていた。
中央環境審議会水環境・土壌農薬部会は、温泉旅館の排水中のホウ素およびフッ素濃度を一般排水基準まで低減させる処理技術については、「現時点で導入可能な技術の見通しが立っていない」として、「温泉旅館業者が取り得る排水濃度の低減対策が限られる中、3年ごとに暫定排水基準を見直すことの効果は限定的」と判断した。
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