日本政策金融公庫はこのほど、旅館・ホテルなど生活衛生関係営業の景気動向等調査の今年7〜9月期分を公表した。同期の生活衛生業全体の売上DIと利用客数DIは、過去15年間で最高を記録。また業況判断DIは、ホテル・旅館業で過去最高となった。「アベノミクス効果で消費マインドに明るさがみられ、国民の日常生活に密接に関係した小規模事業者の景況に持ち直しが続いている」(同公庫)。
生活衛生業全体の売上DI(前年同期比で増加とする企業割合から減少とする企業割合を引いた値)はマイナス20.0で、前期比2.7ポイント上昇。前年同期比では20.3ポイント上昇した。来期(今年10〜12月期)はマイナス14.8と、DIがさらに上昇する見通し。
業種別では、ホテル・旅館が3.2と、前期のマイナス6.8から10.0ポイント上昇し、プラス水準に転換した。ほかに、飲食、食肉.食鶏肉販売、氷雪販売、理容、映画館の6業種で上昇。前年同期比では全業種で上昇した。
利用客数DIは、全業種で前期比2.2ポイント上昇のマイナス25.0。前年同期比では16.1ポイント上昇した。このうちホテル・旅館は10.3で、前期のマイナス2.8からプラス水準に転換した。
業況判断DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値)は、全業種で前期比1.6ポイント低下のマイナス16.7。ただ、前年同期比では13.1ポイント上昇した。業種別では、ホテル.旅館が10.8で、前期のマイナス8.5からプラス水準に転換。データが比較可能な過去15年間で最高の数字となった。ただ、来期はマイナス14.6と、再びマイナス水準に落ち込む見通し。
ホテル・旅館の特徴的な業況判断理由は次の通り。
「地域で住宅地の開発があり、従事者の宿舎としてホテルが利用された」(栃木県)。
「地域の海水浴場の利用者数が前年を上回る数字となり、宿泊客も震災前に戻りつつある」(千葉県)。
「出雲大社の遷宮効果があった」(島根県)。
「地域経済の落ち込みや人口減少など外部環境は厳しいが、顧客ニーズに沿った戦略的な投資を毎期実施していることが、来場者の増加につながっている」(高知県)。
「外国人客は増えたが、猛暑により観光客が減少したため業況は変わらない」(東京都)。
「夏期は大きなイベントがないため、例年観光客は減少する。燈花会は多くの人でにぎわうが、近隣の方は日帰り、遠方の方は素泊まりといった傾向があり、売り上げに結び付かない。目をひくプランを模索中である」(奈良県)。