南海電気鉄道(大阪市、遠北光彦社長)と WED(東京都渋谷区、山内奏人社長)、一般社団法人関西イノベーションセンター(大阪市、林安秀代表理事)は3月21日、観光地での一定額以上の消費で復路の乗車券を実質無料にすることで観光客の消費促進や観光地の活性化、新たなビジネスモデルの創出を目指す実証実験を始めた。
同実証実験は、関西イノベーションセンター運営のイノベーション創出拠点「MUIC Kansai(MUIC)」の課題解決プログラムで実施するもの。
WEDのレシート買い取りアプリ「ONEアプリ」と連携し、3月21日~4月20日の期間、南海電鉄のなんば、新今宮、天下茶屋のいずれかの駅(大阪市)から高野山駅(和歌山県高野山町)までのデジタルきっぷ=写真は画像=を無料プレゼントするキャンペーンを展開する。
キャンペーンは事前に募った実証実験の体験希望者1千人を対象に実施。体験者にはONEアプリ経由で高野山駅までの往路デジタルきっぷを配布する。高野山エリアでは体験者1人につき「拝観」「飲食」「お土産」のジャンルごとに目標金額を設定。
対象の施設、店舗で全ジャンルの目標金額を超える消費を行った体験者に対して復路のデジタルきっぷを提供することで、「体験者は移動料金負担なしで観光を楽しめる」(MUIC)。目標利用金額未達の場合は復路のデジタルきっぷは提供されない。
高野山での消費額については、レシートをONEアプリで読み取って確認。復路のデジタルきっぷの配布もONEアプリ上で行う。
これまで観光地の施設や店舗は集客施策として独自のクーポン発行や割引キャンペーンを行ってきた。MUICなどは今回の実証実験で、往復の交通費を実質無料とすることが観光客にとって観光施設・店舗のクーポンなどと比較してインパクトが大きいのかを検証し、観光地への新たな集客施策につなげていきたい考え。実証実験では復路の乗車券の代金をMUICが負担するが、「最終的には観光地の提携店舗等が負担することが目標」とMUICの村上弘祐氏は話す。
併せて、デジタルきっぷやレシート読み取りなどのデジタル技術の活用による観光施策へのシナジー効果も期待する。
観光地での消費額に焦点を当てた取り組みでもあり、今後はインバウンド需要への貢献も視野に活動していくという。