相鉄は12月に新型車両を導入する。同社が発表した詳細は以下の通り。
相鉄グループの相模鉄道株式会社(本社:横浜市西区、社長:滝澤 秀之)では、相鉄グループが創立100周年を迎える2017年(平成29年)12月に、新型車両「20000系」を導入します。新型車両としては11000系以来9年ぶりとなります。
この車両は、2022年度(平成34年度)下期に開業予定の相鉄・東急直通線※の車両として使用するもので、「デザインブランドアッププロジェクト」のコンセプトを反映した新型車両としては初めてのものです。
新型車両「20000系」は、昨年登場しお客様からもご好評をいただいている9000系リニューアル車両に続き、新たな相鉄線のイメージカラーである濃紺色(YOKOHAMA NAVYBLUE(ヨコハマネイビーブルー))の外装や落ち着きのあるグレー色を基調にした内装、時間帯で色調が変化する調色調光式のLED照明を採用しています。今後、相鉄線沿線から東京都心に乗り入れることから、相鉄を象徴する車両として、これまでの通勤型車両には見られない斬新なデザインやアイデアを随所に取り入れています。先頭形状は、通勤型車両のイメージを打ち破る立体的でインパクトのあるデザインを採用。車内は、空調設備を工夫して実現した高い天井やガラス製の荷棚・仕切り・貫通扉の採用により、開放感のある室内としました。また、全ての車両にベビーカー・車椅子用のフリースペースを設置し、優先席の一部には立ち座りが容易になる「ユニバーサルデザインシート」を導入している他、相鉄線では初となる「ナノイー」*搭載の空気清浄機、駅に長時間停車する際にお客様がドアの開閉を行える「個別ドアスイッチ」を新たに導入するなど、多様なニーズにお応えできる仕様としています。
立ち座りが容易な「ユニバーサルデザインシート」(イメージ)
■「20000系」の概要
1.営業運転開始
2017年(平成29年)12月(予定)
2.導入車両数
1編成(10両) (7000系車両の代替)
※2022年度(平成34年度)下期(予定)の東急直通線の開業時までに順次導入予定。
※相鉄・JR直通線用の車両は、現在検討を進めています。
3.開発コンセプト
安全×安心×エレガント
~目先のトレンドに左右されない「醸成するデザイン」~
4.主な特徴(◎相鉄線初)
(1)快適性の向上
◎「ユニバーサルデザインシート」を一部の優先席に導入
立ち座りを容易にするため座席の高さを上げ、座り心地を損ねない範囲で座面を小さくしたシート。座席下部に大型の荷物が収納でき、荷棚が使いにくいお客様でも安全にご利用いただけます。
◎ベビーカー、車椅子用のフリースペースを全車両に設置
◎「ナノイー」*搭載の空気清浄機を導入
◎「個別ドアスイッチ」を全てのドアに導入
空調効果を高めるために始発駅等でお客様によりドアを開閉することができます。
◎座席端部の仕切り板の大型化
座席端部の仕切り板に強化ガラスを採用し、荷棚まで届く形状にすることでドア付近にお立ちのお客様の荷物等による着席しているお客様への干渉を緩和します。
・日差しを遮る「ブラインド」を復活
・相鉄線の特徴でもある「車内の鏡」を復活
・時間帯で変化する調色調光式のLED照明を採用
・2016年度グッドデザイン賞を受賞した「つり革」を採用
・ロングシート座席は座り心地を改良し、ランダムパターンを施した汚れが目立たない生地を採用
(2)車内への情報提供の強化
◎ドア上や通路の天井に大画面案内表示器(21.5インチ)を設置
◎見やすさを向上のため通路の天井に広告画面を設置
・全車両でWi-Fiを提供
※Wi-Fiをご利用になるには、通信事業者との契約が必要です。
(3)環境への配慮
◎新型素子(SiC素子)を採用したVVVFインバータ制御装置と高効率電動機の併用や、室内灯・各種灯火類のLED化により消費電力を低減
・密閉型主電動機や防音車輪の採用により騒音を低減
(4)安全・安心の更なる向上
・車内の非常通報装置を増設
◎急曲線等での安全性を向上させた専業メーカー製台車
◎車両情報を司る装置にイーサネット方式を採用し、安全性やメンテナンス性を向上
5.車両製造会社
株式会社日立製作所
6.デザイン設計
株式会社PRODUCT DESIGN CENTER
*「ナノイー」は、パナソニック株式会社の商標登録です。
※「相鉄・東急直通線」とは…
相鉄では、JR線と東急線との相互直通運転を予定しています。相鉄・JR直通線[2019年度(平成31年度)下期開業予定]は、相鉄線西谷駅とJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近間に連絡線(約2.7km)を新設し、この連絡線を利用して相鉄線とJR線が相互直通運転を行うものです。
また、相鉄・東急直通線[2022年度(平成34年度)下期開業予定]は、JR東海道貨物線横浜羽沢駅付近と東急東横線・目黒線日吉駅間に連絡線(約10.0km)を新設し、この連絡線を利用して相鉄線と東急線が相互直通運転を行うものです。この横浜市西部および神奈川県央部と東京都心部とを直結する新たな路線の開業により、広域鉄道ネットワークの形成と機能の高度化がなされ、所要時分の短縮や乗換回数の減少など、鉄道の利便性向上が図られるとともに、地域の活性化等に寄与します。新幹線へのアクセスの向上や相鉄線沿線等のさらなる発展にも貢献します。
公式サイト: http://www.chokutsusen.jp/
直通線MAP :
20000系の12月の営業運転開始(予定)まで「デザインブランドアッププロジェクト」のオフィシャルサイトや相鉄グループの広報誌「相鉄瓦版」等のさまざまな媒体で、イベントなどのお知らせや、車両の特徴、製造工程の紹介などを行っていきます。
■「デザインブランドアッププロジェクト」とは…
デザインの総合監修を「くまモン」の生みの親で、クリエイティブディレクターの水野 学氏(グッドデザインカンパニー代表)、空間プロデューサーの洪恒夫氏(株式会社丹青社)に依頼し、お客様との最大の接点となる駅舎や車両、制服などを統一したデザインコンセプトに基づきリニューアルを進め、認知度や好感度を高めることで「選ばれる沿線」の実現を目指す取り組み。
公式サイト: http://www.sotetsu.co.jp/design-pj/
■「SOTETSUあしたをつくるPROJECT」とは…
相鉄グループ創立100周年とその先の都心直通運転に向けて、沿線内外の方にもっと相鉄グループのことを知っていただき、もっと親しみを感じていただくためにグループ各社や沿線事業者、沿線住民を巻き込んで、「住みやすい沿線になるための活動」と「JR線・東急線相互直通運転のメリット」等を発信していく取り組み。
公式サイト: http://www.ashita-tsukuru.jp
■「相鉄瓦版」とは…
相鉄瓦版は1976年(昭和51年)3月に創刊された文庫本タイプの無料広報誌です。相鉄線にご乗車いただいている間(横浜~海老名駅・特急利用で26分、横浜~湘南台駅・特急利用で24分)に読み切れるボリュームと、カバンやスーツのポケットにも入る文庫本サイズが好評で、著名人へのインタビューをはじめ文芸評論からスポーツ、雑学集までさまざまなテーマを毎号特集し、相鉄線をご利用のお客様や沿線の皆様に親しまれています。誌面では、連載企画「電車の生まれるところ」で新型車両「20000系」を紹介していきます。
公式サイト: http://www.sotetsu-group.co.jp/kawaraban/
■水野 学氏プロフィール
クリエイティブディレクター/クリエイティブコンサルタント/good design company代表/慶應義塾大学特別招聘准教授
1972年 東京生まれ。
1996年 多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
1998年 good design company設立。ブランドづくりの根本からロゴ、商品企画、パッケージ、インテリアデザイン、コンサルティングまで、トータルにディレクションを行う。
■洪 恒夫氏プロフィール
1960年 横浜生まれ。
1985年に株式会社丹青社入社以来、ミュージアム、テーマパーク、博覧会、展覧会等幅広い分野の施設デザイン、プロデュースを手がける。2002年より東京大学総合研究博物館教員を兼務(現職=客員教授)。日本空間デザイン賞大賞、サインデザイン賞優秀賞、日本商空間デザイン賞金賞、グッドデザイン賞など受賞多数。
■鈴木 啓太氏プロフィール
プロダクトデザイナー/PRODUCT DESIGN CENTER 代表
1982年愛知県生まれ。多摩美術大学プロダクトデザイン専攻卒。
2012年デザインオフィス「PRODUCT DESIGN CENTER」ブランド「THE」設立。プロダクトデザインを中心に、プランニングからエンジニアリングまでを統合的に行い、家電、モヴィリティ、家具、日用品、アートに至るまで、国内外で様々なプロジェクトを手掛けている。
2015年『サンテティエンヌ国際デザインビエンナーレ(フランス)』招待作家。
2016年「HUBLOT DESIGN PRIZE 2016(スイス)」ファイナリスト。
2016年よりグッドデザイン賞審査委員。