食と放射能の正確な情報を提供
福島県消費生活課は12月10日、関西圏等消費者交流事業としてオンラインツアー「『食べ旅ふくしまONLINE』冬の絶品味わいづくしの旅」を開催した。関西圏等の消費者と福島県内の生産者などとの交流を通じ、県内で実施している放射性物質低減の取り組みや、放射能測定検査の状況について紹介し、放射能に関する説明を行い、正確な情報、知識の普及を図った。
福島第一原子力発電所事故以降、食と放射能についての情報に接する機会が少ない県外の消費者に向けての正確な知識や情報が十分普及しているとは言えないことから、オンラインツアーは、事故に起因する風評や、2021年4月に国が「多核種除去設備(ALPS)等処理水の海洋放出の処分方針」を決定したことによる新たな風評の発生の懸念を払しょくするために開催。同ツアーを通じて、消費者が不正確な情報や思い込みに惑わされることなく、自らの判断で食品の選択ができるよう、正確な知識の普及啓発や理解促進を行う。
同ツアーの参加者には、運営を担う近畿日本ツーリスト福島支店から、福島県のブランド鶏「川俣シャモ」などシャモ鍋セットや、ネギ、白菜、須賀川産リンゴといった福島県産農産物セットなどの詰め合わせが事前に送られた。
同ツアーでは冒頭、福島県消費生活課の國分亮子課長が「福島の生産者の思いに触れていただきたいということが目的の一つ。東日本大震災以降、農産物、海産物は継続して放射能検査を行ってきた。ツアーをきっかけに情報がSNSで拡散されるなど、福島県が安全な食を提供していることの理解を深める契機としたい」とあいさつした。福島県の観光の魅力については、雪質が良い中で楽しめるスキーや県内に多数ある温泉を紹介した。
オンラインツアーには、タレントの藤原カズヒロさんがツアーガイドを務めるほか、日本航空(JAL)客室乗務員でJALふるさと応援隊の小林美柚さん、インフルエンサーで#東北PR局福島県アンバサダーのゆうみさんらが出演した。
安全安心な食については、野菜を提供した設楽農園による放射能対策や風評への取り組みを紹介するほか、福島県産ブランド農産物の復興として、福島県農業総合センターによる徹底した安全管理や安心な生産物の流通、モニタリング検査、GAP(農業生産工程管理)とHACCP(食品衛生管理システム)の取り組みなどが披露された。
観光地については、ゆうみさんが、鍾乳洞のライトアップが奇麗な「あぶくま洞」(田村市)や、世界最大級のタッチプール「蛇の目ビーチ」が人気な水族館「アクアマリンふくしま」、春夏秋には季節の花が見られ、アンブレラスカイが映えスポットとして有名な「猪苗代ハーブ園」(猪苗代町)を紹介した。小林さんは、プールや温泉、食事のほか、フラダンスのショーなどを家族で楽しめる「スパリゾート・ハワイアンズ」(いわき市)、藤原さんは、22年10月1日に全線開通したJR只見線を推した。
このほか、海産物の放射能検査実施の状況の動画での説明や、近畿大学の山田崇裕准教授によるALPS処理水に残るトリチウムの影響についての説明、参加者を交えたクイズや質問などが行われた。
同事業は、23年度も継続して実施する予定。
魅力を紹介する出演者
福島県産農産物セット