福島県が同県の観光産業の復興に向け新たな一歩を踏み出した。10月28日、郡山市磐梯熱海温泉のホテル華の湯で、観光復興のための全県挙げた大型キャンペーンの委員会とキックオフイベントを開催。2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」などを核に、今年度から15年度までの4年半にわたる観光復興キャンペーンを展開。県民運動などによる郷土愛の醸成や各種メディアを使った正確かつポジティブな情報の発信により、観光復興とさらなる飛躍を目指す。
キャンペーン委員会の役員は、会長に佐藤雄平知事、副会長に瀬谷俊雄・県観光物産交流協会理事長と菅野豊・県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長がそれぞれ就いた。
キャンペーンでは今年度から13年度までを「観光復旧期」、14〜15年度を「観光飛躍期」とそれぞれ設定。東西に広い県土を分ける、「会津」「中通り」「浜通り」のエリアごとに、地域状況を踏まえたキャンペーン展開を進める。
前期3年では、八重の桜を復興への大きな足掛かりとして、ドラマをテーマにした見学施設や移動博覧会を設置し、中核イベントとして盛り上げる。今年度については準備期間として、ドラマの主人公、新島八重の知名度向上のための県内イベントの実施やゆかりの人物、土地などの素材発掘などを進める考え。
後期2年については、福島の状況や社会的なトレンドなどを踏まえたプロモーションを打っていくこととしており、今後具体化する方針。
国内誘客対策としては、「地域の魅力の創造・磨きあげ」「誘客につながるインセンティブ」「特定企業・団体等への働きかけ」「コンベンション誘致事業」「情報発信拠点施設の活用」を柱に取り組む方針だ。
同日行った観光復興キャンペーンのオープニングセレモニーには、同県内の観光関係者約200人が出席。福島から日本全国に笑顔を贈ろうと「全国きずなキャラバン」を行ってきた、スパリゾートハワイアンズ(いわき市)のフラガールらのパフォーマンスに続き、参加者全員でキャンペーン成功へ「がんばろう」と気勢を上げた。
冒頭あいさつした佐藤雄平知事は、「福島に来た人からは『来てみると想像と全然違う』との声を聞く。やはりまずは福島に足を運んでもらい、元気な福島を見てもらうのが一番の復興になる。福島の再生は今回の観光キャンペーンにかかっている。今までのキャンペーンとは違い、文化、スポーツ、農林水産などの全分野挙げて取り組む。今日を新しいスタートに官民挙げて盛り上げていこう」と力強く訴えた。
また「がんばろう」の音頭を取った菅野豊副会長は、「(26日に東電から示された新たな賠償基準について)今日の理事会で算定基準の受け入れが決まり、最高のタイミングでキャンペーンのスタートを切ることができた。観光はどちらかというと今まで軽く見られがちだったが、『観光はものすごく大事なんだ』との知事のあいさつを聞き胸にジンとくるものがあった。NHK大河ドラマという強力な後押しを受け、県全体が『盛り上げよう』という機運になっている。全県挙げてがんばっていきたい」と観光の復興への思いを新たにしていた。
八重をモデルにした キャラクターを募集
福島県は八重の桜の主人公である新島八重をイメージしたご当地キャラクターを設定し、観光復興キャンペーンなどのPRに活用することとし、10月28日からキャラクターの公募を始めた。
新島八重は会津藩の砲術師範の家に生まれ、会津戦争では断髪、男装で籠城戦に参加し「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた人物。「ハンサム・ウーマン」「日本のナイチンゲール」とも評された。
同県では「『ゆるキャラ』募集」としており、八重をイメージさせるだけでなく、郷土色とユニークさ、かわいらしさを兼ね備えたキャラクターを求めている。
設定したご当地キャラクターは、八重の桜に絡めた観光キャンペーンのPRのために広報物などに利用するほか、着ぐるみなども作成し、幅広く活用するという。
最優秀作品1点には10万円を贈る。
応募期間は12月28日まで。
気勢を上げる佐藤知事(中央)ら