稲取温泉観光協会(静岡県東伊豆町)の事務局長に全国公募で選ばれた渡邊法子さんが8日、4月の就任を前に、国土交通省の望月義夫副大臣を表敬訪問した。渡邊さんは「稲取にはまだ活用されていない観光資源がたくさんある。歴史や文化をもう一度見直し、何をどう発信するのか、まちの人たちを主軸に、活性化への取り組みをうまくコーディネートしたい」と意気込みを語った。
渡邊さんは、NPO法人・全国まちづくりサポートセンター理事を務めるなど、まちづくり活動に実績がある。京都の丹後半島では、経済産業省のサービス産業創出支援事業のもとで観光振興に取り組んだ。
同協会の事務局長職には、全国から1281人の応募があったが、渡邊さんは3次にわたる審査を突破。全国公募というユニークな取り組みに、テレビや新聞も注目、選考結果はニュースとして大きく取り上げられた。
望月副大臣は「プレッシャーも、苦労もあると思うが、地元の方とは違う視点を大切にしてほしい。国交省も観光分野の人材育成や外部人材の活用を推進しているところ。私たちも応援するので、がんばってください」と激励した。
表敬訪問には、稲取温泉観光協会の加藤昌利会長(ホテル銀水荘)、稲取温泉旅館組合の赤尾恵太郎組合長(赤尾ホテル)も同席した。
渡邊さんの選考理由について、望月副大臣から質問された加藤会長は「大手企業で活躍した方などの応募も多かったが、予算を持たずに1つひとつ積み上げてまちづくりに取り組んできた渡邊さんの経験を評価した。女性の視点もこれからの稲取の活性化には欠かせない」と語った。
渡邊さんは現役大学院生で中国哲学を専攻していることから、中国からのインバウンド誘致などへも期待がふくらむ。
会談の最後に、観光地活性化の参考にしてほしいと、望月副大臣が、国交省が作成した観光地づくりの事例集を手渡した。渡邊さんは「稲取も成功事例として掲載されるようにがんばります。副大臣もぜひ稲取においで下さい」と笑顔をみせていた。
抱負を語る渡邊さん(中央)