右から、グランエレメントを運営する奥伊吹観光代表取締役の草野丈太氏、油谷湾温泉ホテル楊貴館取締役の岡藤明史氏、テラス御堂原を運営する関屋リゾート代表取締役の林太一郎氏
全旅連青年部主催 1500施設の頂点
旅館業の魅力や自館の取り組み、仕事への思いを経営者、従業員がプレゼンテーションする「第5回旅館甲子園」（全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部主催）が2月17日、東京ビッグサイト（東京都江東区）で行われ、最高賞のグランプリを「グランエレメント」（滋賀県米原市）、「油谷湾温泉ホテル楊貴館」（山口県油谷湾温泉）、「テラス御堂原」（大分県別府温泉）が受賞した。グランプリの複数受賞は初めて。
今まで注目されることが少なかった旅館で働く人にスポットを当てた事業。従業員が自分の目で見た旅館業や自館の魅力、仕事に掛ける思いを、経営者が従業員への感謝の気持ちをさまざまな手法でアピールしてもらい、「学び」「気付き」を業界関係者ら観覧者に感じてもらおうという試み。
今回は、青年部に所属する経営者の旅館など全国約1500施設に出場を募ったところ、各都道府県組合青年部長の推薦を受けた117軒がエントリー。実行委員会による1次審査で15軒が選ばれ、この中から業界の代表者による2次審査（書類審査）を経て、グランエレメント、油谷湾温泉ホテル楊貴館、テラス御堂原の3軒がファイナリストとして当日の最終審査に進出した。
グランエレメントは、所有していたミニゴルフ場を改修し、新しい宿のスタイル、グランピング施設として開業した。開放感があふれ、自然を感じられるくつろぎの滞在空間を、各部門のスタッフのサービスやアイデアによって宿泊客に提供している。
油谷湾温泉ホテル楊貴館は、「大切な人と、大切な時間を過ごせる宿」をコンセプトに、油谷湾を望む高台に立地する。コロナ禍でスタッフや地元とのつながりをより強くし、元乃隈神社のライトアップ事業に参画するなど、地域に大きく貢献している。
テラス御堂原は、スタッフの育成に注力する。新入社員向けの関屋アカデミーと呼ばれる研修制度を設け、社員のスキルアップと定着化を図っている。この試みが評価され、2021年版「働きがいのある会社」ランキング小規模部門でベストカンパニーに選出された。
会場内の出席者による投票を経て、全旅連青年部の鈴木治彦部長から3施設のグランプリ受賞が発表された。鈴木部長は、「コロナ下の今こそ、旅館・ホテルが日本を元気にするという大会理念にふさわしい大会だった。グランプリを受賞した3施設から共通して、チャレンジすることの大切さを学んだ」と総評した。元全旅連青年部長の横山公大氏は「グランエレメントさんが示した旅館の新たな可能性、楊貴館さんの地域への愛情、御堂原さんの社員教育メソッド、どれもが特色ある素晴らしいプレゼンテーションだった」と評した。
右から、グランエレメントを運営する奥伊吹観光代表取締役の草野丈太氏、油谷湾温泉ホテル楊貴館取締役の岡藤明史氏、テラス御堂原を運営する関屋リゾート代表取締役の林太一郎氏
