第3次補正予算成立 観光産業支援、需要の回復へ


GoToトラベル延長1兆円 宿泊施設の改修など550億円 地域資源の磨き上げ50億円

中小企業の生産性補助金も拡充

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策や経済対策を盛り込んだ2020年度第3次補正予算が1月28日の参院本会議で可決、成立した。観光庁の施策には、全国で一時的に停止中のGo Toトラベル事業の再開・延長に1兆円、宿泊施設の改修費などを補助する観光拠点の再生事業に550億円などを計上した。他の省庁でも、中小企業の生産性向上、ワーケーションの推進など、観光産業の支援、観光需要の回復につながる施策が打ち出されている。予算の成立を受け、公募型の事業は近く募集が始まる見通しだ。

Go Toトラベル事業の延長と適切な運用(観光庁、1兆311億円)

 20年度第1次補正予算1兆3500億円、20年度予備費3119億円に追加し、Go Toトラベル事業の予算を拡充した。年末年始以降、事業は停止しているが、感染状況を踏まえて柔軟に運用し、国内旅行需要の本格的な回復につなげる。観光需要の回復が遅れている中小事業者や被災地への配慮、平日への旅行需要の分散化策を講じつつ、制度を段階的に見直しながら6月末までを基本に延長する。

既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業(観光庁、550億円)

 自治体やDMOが策定した観光拠点再生計画に基づき、旅館・ホテル、飲食店、土産物店などの施設改修に補助金(最大2分の1)を交付する。宿泊業の経営革新に専門家を派遣する事業、廃屋を撤去して景観を改善する事業、観光施設における換気設備の導入など感染拡大防止策を支援する事業なども併せて行う。支援する区域は100カ所程度を想定している。

日本政策金融公庫等の「観光産業等生産性向上資金」の貸付対象の拡充(財政投融資制度)

 観光庁が実施する「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」と連動して観光施設の再生を後押しするため、日本政策金融公庫などの「観光産業等生産性向上資金」の貸付対象を拡充する。対象は、事業計画を策定し、生産性向上に取り組む宿泊施設、飲食店、土産店など。

 設備資金、運転資金を融資する。貸付限度額は中小事業で7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)。貸付利率は基準金利から0・4%引き下げる。宿泊施設への融資のイメージには、露天風呂付き客室や個室食事処の拡大、換気機能の強化などの設備投資が例示されている。

地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進事業(観光庁、50億円)

 地域の”縦割り”を打破し、観光事業者やDMOと、漁業、農業、地場の製造業などが連携する取り組みを重視。連携に基づく地域資源を生かした観光コンテンツの造成などを後押しする。例えば、漁業現場の体験ツアー、農業を通じたスローライフ体感、職人の指導が受けられる工芸スクールなどの企画、モデルツアーなどを支援する。

訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(観光庁、50億円)

 公共交通機関のキャッシュレス決済対応、魅力ある車両の導入、高性能の空気清浄フィルターの導入などの補助事業と、インバウンドの段階的な回復に向けた実証事業の2種を実施。インバウンドの実証事業は、感染症が落ち着いている国・地域から防疫措置を徹底した小規模な訪日ツアーを試行的に受け入れる。
 

 

 
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