経団連、クルーズ振興で提言


 経団連は15日、「クルーズ振興に向けた提言」をまとめ、政府機関などに提出した。クルーズ観光を国家戦略として振興し、東日本大震災の被災地を含む全国各地の活性化と雇用創出につなげるよう求めた。

 提言は「経済成長に伴う所得増、船の大型化による低コスト化が加わって、アジア地域ではクルーズ観光の需要増大が続いている」と指摘。諸外国に比べ日本はクルーズの普及が遅れているが、高齢化の進展などによる余暇時間の増大を踏まえれば「今後クルーズ市場が伸びる余地は十分にある」とし、観光立国の観点からもクルーズ振興に取り組むべきだとした。

 政府の課題として、(1)入国手続きの簡略化、迅速化、円滑化(2)外国人旅行者に対する査証(ビザ)発給要件の緩和、および消費税免税制度の抜本的な見直し(3)クルーズ振興に関する体制強化と関係機関との連携—を挙げた。

 (1)については、人員や機材の充実など入国審査体制の強化を図るとともに、大型クルーズ船については入国審査官が事前に海外から乗船し、上陸する外国人乗客に対し航行中での入国審査手続きを完了する「海外臨船審査」を実施するよう求めている。

 消費税免税制度では、出国時における購入物品の輸出確認後の返金方式の導入による輸出免税対象品目の拡充(化粧品、医薬品、飲食料品)や、同方式の導入に伴う手続きの簡素化によるショッピングの利便性向上を具体例として挙げた。

 国と、地方・官民が連携して取り組む事項として、(1)インフラ、受け入れ体制の整備(2)休暇の取得促進(3)海からの視点による地域の新たな魅力の発信—を要望。

 外国人旅行者に対応したインフラ整備として、「外国語の標識・案内表示やガイドブックの充実、ツアーガイドの育成のほか、クルーズ客が寄港地を中心にさまざまな地域の魅力を体感できる着地型旅行商品の開発、提供を促進すべき」と提言した。

 
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