経団連は11月25日までに、「国家ブランドの構築に向けた提言」をまとめ、公表した。世界の日本に対する信頼、憧れが強まっていることを背景に、国家(ジャパン)ブランド力をさらに強化し、国内にヒト、モノ、カネ、情報を呼び込む必要性を指摘。その上で、当面の課題や深化の方向性、経済界の取り組みを示した。
提言はジャパン・ブランド強化に向け、(1)国家戦略への明確な位置付け(2)官邸を中心に各省庁の施策のPDCAサイクル(業務プロセスの管理手法の一つ)の構築—を求めた。
(1)については、「クールジャパン戦略を発展的に再構築し、高い品質・生産性、科学技術、都市や交通・流通網など、より幅広い日本のスペシャリティ(持ち味)の発信、インベスト・ジャパン(対日投資の拡大)も抱合させ、国内にヒト、モノ、カネ、情報を呼び込む戦略とすべきだ」とした。
PDCAサイクルでは留意すべき点として、(1)知日派や日系人ネットワークの活用(2)国際会議・見本市の開催数など重要業績評価指標(KPI)の設定(3)在外公館の役割の明確化・強化(4)和食をはじめ、日本の多様な食文化の戦略的な海外展開—などを挙げた。
一方、深化の方向性では国際観光・クリエイティブ産業特区の整備とMICE戦略の立案・遂行を提言。
このなかで、国家戦略特区を活用した「国際観光・クリエイティブ産業特区」の実現を求め、「まち丸ごと一つが日本の魅力のショーケースとなる店舗、施設が集積した『クールジャパン総本山』であり、クリエイティブ産業と関連の教育機関、インキュベーション施設が集まる地域を創出する」とした。
MICEについては、世界最大級の国際会議などを誘致、開催を可能にする大規模MICE施設を整備すべきだとし、(1)国際空港から30分圏内といった海外からの良好なアクセス(2)宿泊施設やレストラン、映画祭の受賞式などの式典も開催可能な機能・規模を持つシアターホールやショッピング施設の整備など、参加者の満足度を高める利便性、快適性—などを求めた。
提言はまた、経済界の取り組みとしてオリンピック・パラリピックでジャパン・ブランドの体現を目指す「ジャパン・ブランド&イノベーション2020構想(仮称)」を提案、経団連も積極的に参画する考えを示した。