日本経済団体連合会は11日、東京・大手町の経団連会館で、「“家族”で楽しむ!エコ&ロングステイ観光アイデアコンテスト」の最終審査会を開き、1次審査(書類審査)を通過した7作品の中から、大成建設のチームがつくった体験・交流型観光プランを最優秀賞に選んだ。経団連は「(全国から公募した)ユニークなアイデアなので、旅行会社に商品造成の検討をお願いしていきたい」(産業政策本部)と話している。
同コンテストは、東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故で落ち込んだ観光需要を喚起するのが狙い。エコと長期滞在がテーマで、「このようなコンテストは初の取り組み」(同)と言う。会場には観光関係者のほか、一般の人たちの姿も目立った。
山口範雄・観光委員会共同委員長(味の素会長)は、「急きょ企画したにもかかわらず、全国から107件の応募があった。工夫を凝らした斬新なプランが寄せられた」と述べ、発想の豊かさを高く評価した。
作品は5月中旬から約1カ月間募集。6月23日に1次審査を行い、個人や企業、自治体、NPO法人からの7件を選出、この日の最終審査会で最優秀賞、優秀賞、特別賞を決めた。
最優秀賞を受賞した大成建設チームの作品は、「る・つ・く『つくる』の裏側」がテーマ。建造物や工芸品、加工食品などを観光資源とし、表と裏を見ることに主眼を置いている。(1)1つの観光資源を通じて地域産業の隠れた新たな魅力を発見(2)生活に密着した産業に着目しているため、幅広い層に対応できる──などが特徴と言う。
審査委員の1人は「1カ所にとどまり、興味あるものを掘り下げる旅で、時流にあった企画だ」と述べた。同チームには副賞として5万円、JR東日本から記念品が贈られた。
このほか、岩手県遠野市を自転車で旅行しながらボランティア活動を行うプランや、福島県会津市を舞台に江戸時代の衣食住を体験、鶴ヶ城に泊まるプランなど3件が優秀賞を受賞した。
審査委員は生江隆之・観光委員会企画部会長(三井ホーム社長)=委員長▽田島幸郎・JTBグループ本社執行役員▽池畑孝治・KNT執行役員▽田端浩・観光庁地域振興部長▽安島博幸・立教大教授▽山田べにこ・温泉ライターの各氏。
また、青森県の三村申吾知事が講演し、観光振興を通じた東北地方の復興に強い意欲を示した。
表彰される大成建設チーム