若者に広がる脱炭素への取り組み。15-19歳の3人に1人が日常的に実践


若者に広がる脱炭素への取り組み。15-19歳の3人に1人が日常的に実践

電通は2025年4月8日、第16回「カーボンニュートラルに関する生活者調査」の結果を発表した。全国15〜79歳の1400人を対象に実施された本調査で、若年層の環境意識の高まりが浮き彫りになった。

15-19歳の36.2%が脱炭素社会実現に向け日常的に行動

調査結果によると、カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けて普段から取り組んでいる人の割合は、全体で22.7%にとどまった。しかし、15-19歳の若年層では36.2%と突出して高く、3人に1人以上が日常的に行動していることが明らかになった。

この数字は、前回2024年9月の調査から8.6ポイント増加しており、過去最高を記録。一方で、50代では17.0%にとどまり、15-19歳との間に19.2ポイントもの差が生じている。

若年層の高い意識の背景には、2020年度から小学校でSDGs教育が導入されたことが影響していると考えられる。学校教育を通じて環境意識が醸成され、気候変動を「自分ごと」として捉える感度が他の世代よりも高くなっているのだ。

一方で、20代以上の世代では取り組みの割合が低く、特に30代・40代では必要性の意識低下が顕著だ。20代・30代では「必要性が分からない」とする人の割合が高くなっており、日々の忙しさや経済的な制約など、生活優先の現実的な判断が影響していると推測される。

こうした世代間のギャップを埋めるためには、年齢に応じたコミュニケーションやインセンティブ設計が重要になる。現実的なライフスタイルの中で無理なく取り組める仕組みや、楽しみながら参加できるエンゲージメント設計など、「やらなければならないもの」から「やってみたいこと」へと意識を転換できるような工夫が求められる。

調査では、COP29(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)の開催認知率についても聞いている。全体の約半数(45.4%)が認知していた中、70代(70.4%)、60代(52.2%)、15-19歳(51.3%)の順に高い結果となった。若年層の高い関心が、ここでも顕著に表れている。

さらに、「このままでは世界の平均気温が今世紀末までに最大で3.1℃上昇するという見通し」についての認知率は全体で38.3%。15-19歳(49.3%)と70代(50.4%)で約5割に達したが、20-60代では3割台にとどまった。納得度においても同様の傾向が見られ、15-19歳と70代は4割を超えたのに対し、他の世代は3割台となっている。

この結果は、気候変動に関する情報の受け取り方や感度に、世代間で大きな差があることを示している。若年層と高齢者層が比較的高い関心を示す一方で、働き盛りの世代では相対的に低い傾向にある。これは、日常生活や仕事の忙しさが影響している可能性があり、環境問題への取り組みを促進するうえでの課題となっている。

調査担当者は、「15-19歳と20代以上の世代の間で生じる意識・行動ギャップを埋めるためのコミュニケーションや、世代に応じたインセンティブ設計が一層重要になる」と分析している。現実的なライフスタイルの中で無理なく取り組める仕組みや経済的インセンティブだけでなく、楽しみながら参加できるエンゲージメント設計など、「やらなければならないもの」から「やってみたいこと」へと意識を転換できるような工夫が、行動を促すきっかけになるのではないかと見ている。

この調査結果は、日本社会における環境意識の変化と世代間格差を如実に表している。若年層の高い意識を社会全体に広げていくことが、今後の環境政策や企業の取り組みにおいて重要な課題となるだろう。

 
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