茨城県と栃木県は、東日本大震災で減少した宿泊客を呼び戻すため、プレミアム付き宿泊券をそれぞれに発売した。販売価格は茨城県が2500円、栃木県が3千円で、いずれも5千円分の宿泊券として利用できる。両県の取り組みは個別のものだが、ともに今年度中に2万枚の発券を目指す。
茨城県がプレミアム付き宿泊券を発行するのは初めて。2011年と12年に、ツアーを催行する旅行会社に無償で観光バスを手配する事業を行ったところ、団体客の誘致に成功し大きな効果を出した。ところがバスツアーが造成されやすい大きな宿や施設に旅行客が偏ってしまった。「今年は個人の旅行者に向けて宿泊券を考案した。小さな宿にも宿泊客を誘致したい」と観光物産課の鈴木賢嗣さん。
5千円の宿泊券は、2500円で発売。差額のうち500円は宿泊施設が負担し、残りの2千円は県の宿泊観光推進事業の予算約5600万円で支払われる。販売枚数は第1期、2期ともに1万枚。第1期は25日に発売した。第2期は10月1日が予定されており、ともに14年3月末まで使用可能。1人8枚まで購入でき、1泊1万円以上の場合は2枚まで、1万円未満は1枚使用できる。
宿泊できる施設は137施設。宿泊券は全国のコンビニエンスストア、リクルートの割引チケット共同購入サイト「ポンパレ」、アンテナショップ「茨城マルシェ」で販売する。
栃木県がプレミアム付き宿泊券を発行するのは昨年に続き2年目。昨年は夏期と冬期にそれぞれ1万枚発売し完売した。県内販売分は即売したが、首都圏分は完売まで時間がかかった。
今年も5千円の宿泊券を3千円で販売し、差額の2千円は県の観光予算で賄う。
今年の夏期分は15日に発売され、県内分は3日で完売した。県外分は9月27日まで販売され、利用期間は24日〜9月30日。その後、冬期分が発売される。
1人4枚まで購入でき、1泊につき1人1枚利用可能。宿泊券が使えるのは246施設。券の販売は県内外のアンテナショップ「とちまるショップ」「おいでよ!とちぎ館」のほか、一部の旅行代理店などで行う。
個々の取り組みとは言え、隣接する県がプレミアム付き宿泊券をそろって販売したことで、周遊観光の需要も喚起されそうだ。
茨城の宿泊券(上)と栃木の宿泊券