観光庁の支援事業を活用して旅行商品づくりに取り組んだ78地域が出展するイベントが1、2日、東京都内で行われた。各地域は、地域資源を磨き上げて造成した着地型ツアーなどをPR。新しい旅の魅力を一般消費者に伝えた。旅行商品として継続的に販売できるように、旅行会社のツアーへの組み込みなどを目指した商談も行われた。
出展したのは、2012年度の補正予算で実施された「官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業」の採択地域。イベントの名称は「タビカレ学園祭」で、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた。一般来場者は約5千人、商談には旅行会社など約100人が来場した。
事業に参加した地域の観光地としての認知度やブランド力はそれぞれ。各地域では自治体や観光協会、宿泊・観光施設、旅行会社などが協力し、商品づくりに試行錯誤。モニターツアーなども実施して旅行者の反応を確かめた。
地域が造成したツアーの内容、打ち出す魅力の内容も多種多様だ。
山形県南陽市の赤湯温泉は、温泉地に4軒のワイナリー(ワイン工場)があることから、「若旦那が案内『ワインの似合う大人のまち』」として新たな魅力を打ち出した。旅館組合、ワイン組合、双方の若手が協力。ワイナリー巡りや、ワインで楽しむ旅館の料理として山形牛を厚切りにしたすき焼きを売り出している。
赤湯温泉旅館協同組合の歌丸裕介代表理事(湯宿升形屋)は「旅館の若手が中心になり、ワインについて勉強した。温泉に加えて、ワインによるおもてなしを赤湯温泉の魅力として女性客などに広くPRしていきたい」と話した。
北海道別海町は、「カメラ女子&親子集合!日本最東端の別世界へ」と題し、シャッターを切りたくなる美しい自然、そこから育まれる豊富な食材をアピール。野付半島の絶景や北海シマエビ、乳製品などの食を満喫できるツアーを紹介した。
別海町観光協会の戸田邑江会長(野付湯元うたせ屋)は「漁業や酪農の生産現場である美しい風景を見てもらい、その食材を味わってほしい。『食の観光日本一のまち』を目指したい」と意気込んだ。
熊本県小国町の杖立温泉は、「湯楽のススメ〜杖立toujiスタイル湯けむり文化」として、温泉の蒸気による伝統的な温熱浴法「蒸し湯」を提案。大学と連携し、美容やストレス低減の効果に関する科学的な検証も進めている。
杖立温泉観光協会の河津毅理事は「杖立温泉は開湯1800年の歴史がある。蒸し湯はほとんどの旅館に設置されており、美肌効果などを立証して、現代風の湯治として幅広い世代に紹介していきたい」と語った。
東京都の伊豆大島(大島町)は、固まった溶岩流や火口がつくる景観から“生きている地球”を体感する「三原山ジオパークツアー」を売り込む。日本ジオパークに認定された島の自然をガイドが案内。観光馬車の運用も検討している。昨年10月に起きた土砂災害からの復興も探る。
ガイドなどを務めるグローバルネイチャークラブの西谷香奈氏は「独特の景観やそこに暮らす人々の営みをジオパークツアーで紹介したい。ガイドのレベルアップを図り、通年型で楽しんでもらえるツアーに育てたい」と語った。
78地域の取り組みに対する投票イベントも行われた。会場での投票、ウェブサイトでの投票を集計した総合部門の結果は次の通り。
1位=福島県喜多方市「タケナワって読めっかよ?漢字のまち喜多方」▽2位=北海道別海町「カメラ女子&親子集合!日本最東端の別世界へ」▽3位=沖縄県大宜味村「おおぎみシークワーサー体験 黄金の果実を味わおう!」
78地域が出展した「タビカレ学園祭」(東京ビッグサイトで)