衛生管理の重要性を提唱 全国水利用設備環境衛生協会 大熊久之会長に聞く 


全国水利用設備環境衛生協会 大熊久之会長

 

レジオネラ属菌対策を推進

 全国水利用設備環境衛生協会(水利協、東京都台東区)は水利用設備の衛生管理の重要性などを啓発するため、1995年に任意団体として設立。2007年には、厚生労働省から社団法人として認められ、14年に内閣府から公益社団法人の認可を受けた。

 近年では、水利用設備の多様化が進み、生活環境が快適になる一方で、衛生面における管理基準が不明確なものがあるという。会長の大熊久之氏=写真=に今後の展望などを聞いた。

 ――協会の紹介を。

 設立以来、水を利用する設備機器やそれらを使用した施設などの周辺環境の衛生問題を提議して、解決を図るとともに、時代に即した衛生教育や衛生管理技術を啓発することを目的としている。

 肺炎などを引き起こす恐れのあるレジオネラ属菌の増殖やレジオネラ症への感染を防止するための方法・技術を伝え、環境衛生の向上の必然性を提唱する唯一の公益団体。

 ――宿泊市場の現状をどう認識しているか。

 国内では経済基盤の一つとして「観光立国」の戦略を立ち上げ、国内需要とインバウンドの経済効果は、コロナ禍以降の日本経済の活気を取り戻す旗振り役になっていると考える。

 その一方で、慢性的な人手不足をはじめ、物価の高騰や、観光景気好調の副産物としてのオーバーツーリズムなど課題は山積している。

 ――全国の宿泊市場での活動実績については。

 宿泊施設などの施設運営者および、従事者に対して、レジオネラ属菌の検出や感染者の発生を未然に防ぐべく、自治体や保健所などとの連携で、「日常の衛生管理の重要性」「知識・技能の向上」の意識を持っていただけるような講演活動を全国で実施している。

 万が一レジオネラ属菌が検出された際には、調査・対応・対処、その施設に適合したマニュアルの作成も展開している。

 同時に、協会が独自に定める資格制度「水利用設備環境衛生士」の育成や施設自ら衛生管理の徹底をPRする「施設衛生管理適合証」の普及などにも努め、水利用設備の清掃・検査・維持管理方法と補償などについて、衛生管理の適切な知識と技術を伝承している。

 ――今後の活動方針と、旅館・ホテルへのメッセージを。

 今後も引き続き、自治体および、保健所などとの連携を強化し、衛生管理の重要性を旅館・ホテルなどに提唱する覚悟。日本の観光は、気候風土や歴史遺産とともに、温泉文化、癒やし(おもてなし)などは揺るがない。

 しかしながら、ここ数年間で発生した感染症は世界的にも環境・衛生への高まり、経済にも影響を与えている。そのことからも今後はこのキーワードの中に「安全・安心」「衛生管理」の用語が入ると自負する。

 施設1軒でのレジオネラ感染症の発生が、地域産業や観光業界への風評被害とともに、大きな経済損失につながる。日頃からの衛生管理の実績を広く宿泊客などに理解してもらうことで、新しい安定した経済の基盤作りになってくる。

◇   ◇

 全国水利用設備環境衛生協会 本部=東京都台東区蔵前4の6の7MBCビル5階▽事業内容=事業の種類 公衆衛生の向上を目的とする事業を展開。特に、水を利用する設備機器を起因とするレジオネラ症を含む感染症の予防を目的として、これら設備機器の衛生管理に関する知識と技術の向上、衛生意識の普及並びに、調査・研究を行う▽連絡先=TEL03(3863)2702。


全国水利用設備環境衛生協会 大熊久之会長


施設衛生管理適合証(見本)

 
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